庭を掘って出た土をどう処分し、足りない土をどこから持ってくるかは、金額の単位が2通りあるために見積が読みづらくなります。同じ残土処分でも、運搬屋が提示するのは1台あたりの建値、処分場が受け取るお金は1㎥あたりの単価です。この2つを同じ頁で並べている資料がほとんど無いので、まず実在する公表値を両方載せ、そこから割り算で口径を揃える表を作りました。搬入側の客土には、土が植物の生育条件を満たしているかどうかを検収する試験項目が定められています。どの試験をどの方法でやるか、どの基準書に依拠しているかも併せて掲載します。ダンプの積載量や土1m³あたりの重さ、体積そのものの出し方は当サイトの他のページが所持しているので、ここでは繰り返しません。

残土の処分料は、運ぶ側からすると台数で動きます。残土処分コムが東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県向けに公表している建値は、残土が2t車9,000円、3t車10,000円、4t車12,000円、7t車17,000円で、単位は[台]、価格は税別です。ガラ(コンクリート片や木くずなど)が混じった残土は同じ車種で10,000円、13,000円、16,000円、20,000円になり、1台あたり1,000〜3,000円上乗せられます。同じ会社のページには、金額が搬出場所から残土捨て場までの運搬距離、都心部か地方かの道路事情、捨て場側の受け入れ価格で大きく動くと書かれています。公共事業の価格も存在しますが一般に公表されないため、実務では見積を詰めるしかありません。

残土処分の1台建値(残土処分コム・税別・東京神奈川千葉埼玉)
処分するもの2t車3t車4t車7t車
残土9,000円10,000円12,000円17,000円
ガラ残土10,000円13,000円16,000円20,000円

解体の窓口も関東地域の実勢として同じ並びを挙げており、2t車で残土9,000円前後、ガラ混じりの残土なら10,000円前後、車種別には2tが9,000円前後、3tが10,000円前後、4tが12,000円前後、7tが17,000円前後としています。異なる二つの出典で建値が一致することは、この帯が関東の実勢としてかなり共通であることを意味します。この会社のページにはもう一つ、処分場そのものに払う金額が書かれています。トラックに一杯分の残土でも4,000円から5,000円程度という記述で、これは場内で現に支払う処分料であり、運搬と積込を含んだ建値とは射程が違います。

一方、㎥単位で公表されているのが太陽油化的受入先別の帯です。ストックヤードは1,000〜3,000円程度、リサイクルプラントは2,000〜5,000円程度、残土処分場は3,000〜8,000円程度で、いずれも1㎥あたり、地域と受入条件で変動します。汚泥として扱う場合は8,000〜20,000円程度となり、帯がひとつ飛びます。この三つの帯は、同じ土でも受け入れ先の種類だけで最大8倍違うことを示しています。

口径切替表|円/車と円/㎥はどちらを含んだ金額か(数値は出典の公表値。最終行のみ当サイトの換算)
口径公表されている値出典その金額に何が含まれているか
作業全体を1工程に分けた合計漉取 約2,000円/㎥・積込 約1,000円/㎥・運搬 約1,500円/㎥・処分 約5,000円/㎥、合計9,500円/㎥残土処分コム掘り取って、積んで、運び、処分するまでの四工程。諸経費を加えても9,500円/㎥程度と同社は書き、四工程の計と一致する。変動が最も大きいのは積込の工程
受入のみ(ストックヤード)1,000〜3,000円/㎥太陽油化受け入れて預かるだけの料金。運搬と積込は入らない
受入のみ(リサイクルプラント)2,000〜5,000円/㎥太陽油化選別や粒度調整などの中間処理を含む受入価格
受入のみ(残土処分場)3,000〜8,000円/㎥太陽油化埋立てなどで最終処分する受入価格
汚泥として処分8,000〜20,000円/㎥太陽油化産業廃棄物としての処理。脱水や固化の中間処理が前提
処分場で1車に支払う額4,000〜5,000円/台解体の窓口場内で現に支払う処分料。運搬と積込は別途
当サイトが建値を1㎥に直した値2t車 8,182円/㎥・7t車 4,371円/㎥当サイト換算建値(円/台)をその車の積載㎥で割った値。積載量と土の比重の組み合わせは庭の解体費用のページと残土・客土の量計算が所持

この表で言いたいことは、建値と受入料金は足し合わせるものではなく、含んでいる工程が違うという一点です。実際、2t車の建値を1㎥に直すと8,182円になり、残土処分場の受入帯の上限8,000円をわずかに超えます。建値のほうは漉取から運搬までを含むので、この関係は二層構造を説明する根拠になります。同じ理屈で、車を大きくすると1㎥あたりの負担は減ります。7t車の建値17,000円を1㎥に直すと4,371円で、2t車の約半分です。少量を数往復で処理するか、まとめて1回で処理するかの差は、この倍率にそのまま出ます。体積と重さの計算自体は 残土・客土の量計算 が担当し、車両単位で出ている金額を庭の解体とまとめて読みたい場合は 庭の解体・撤去費用 に、袋で買う場合の購入単位は 資材の袋容量と購入単位データ に表があります。

区分を間違えると法令の問題になります。太陽油化的解説は、建設工事や造成工事で発生した土砂のうち、異物が混入していない純粋な土砂は廃棄物処理法上の産業廃棄物には該当しません、と明記しています。産業廃棄物管理票、つまりマニフェストの交付も不要で、純粋な残土は廃棄物ではなく建設発生土として扱われるためです。ただし、コンクリート片や木くず、金属くずが混ざっている場合、鉛やヒ素などの有害物質が基準値を超えて汚染土と判断される場合、事業活動で発生して水分を多く含み泥状になった汚泥の場合は、産業廃棄物として扱われる可能性があります。区分の誤りは法令違反につながるため、性状を確認してから判断することになります。

建設発生土の区分と、利用に必要な前提(太陽油化が示すコーン指数の帯)
区分主な土質コーン指数使える状態
第1種建設発生土砂や砂質土が中心で良質定めなし含水比が低く強度が安定。盛土材や埋戻し材に再利用しやすい
第2種建設発生土砂質土や礫質土で第1種に次ぐ品質一般に800kN/m²以上締固めを行えば構造物の基礎周辺にも使用可
第3種建設発生土第1・2種より強度が低い400kN/m²以上800kN/m²未満含水比が高い場合があり、改良や締固めが必要
第4種建設発生土粘性が強く軟弱一般に400kN/m²未満そのままでは基礎や盛土材に使いにくい
泥土(建設泥土)掘削・シールド・杭工事で出る泥状の土一般に200kN/m²未満自立性がほぼなく、脱水や固化の中間処理が必要。汚泥として産廃に該当する場合あり

搬出先は後から決めるものではありません。工事現場から出た建設発生土は、ストックヤードや残土処分場など適切な受け入れ先に搬出しなければならず、発生元が搬出先を把握したうえで適正な処理先へ持ち込む扱いは、実務上、指定処分と呼ばれます。搬出先が不明確なまま出すと、不適切な埋立てや不法投棄につながり、発注者や元請の責任が問われるおそれがあります。受入先を検討するときは、残土の種類を確認したうえで、処理できる施設と契約します。新材を買い足す量を減らせるかどうかは、土のやり取りの情報があるかに掛かります。国土交通省の参考資料は、公共事業の土量調整のほか、一般財団法人日本建設情報総合センターが運営する建設発生土情報交換システム、株式会社建設資源広域利用センターによる斡旋の仕組みを活用すると記載しています。自分の庭のような民間の小規模工事でこれらのシステムが使えるかは地域次第ですが、近隣の現場で土が動きそうな時期に業者へ聞いてみる価値はあります。

客土(黒土)の検収試験項目と方法(環境リサーチが公表する一覧)
試験項目方法何を見ている項目か
粒径組成JIS A 1204 土の粒度試験方法粒の大きさの割合。水はけと保水のバランスを決める
飽和透水係数変水位法十分に水を含んだ土をどのくらいの速さで水が抜けるか
有効水分保持量遠心法及び砂柱法、pF1.8〜3.0根が吸うことのできる水の量
pH(H2O)ガラス電極法土の酸度
腐植含有量チューリン法又は燃焼法有機物の量
全窒素含有量ケルダール法含まれる窒素の総量
塩基交換容量(CEC)セミミクロSchollenber法養分を保つ力

これらの項目には基準値が設定されており、合否判定まで行えるのが客土試験の特徴です。環境リサーチは参考資料として基盤整備工事共通仕様書・施工関係基準 平成16年7月版を挙げています。庭の植え付けのために黒土を買い込むとき、業者のカタログがpHや有機物率しか書いていないケースでは、この項目名を伝えて試験成績書を出してもらえるかを確認できます。土を盛る量の目安を先に決めるなら 庭木の植え付け手順 が入口で、客土に使う真砂土の性質は 真砂土の使い方 が担当しています。沈んだ砂利の下地をやり直す話とは分けて考えると整理しやすくなります。詳しくは 砂利が沈む・ずれる・減る原因と対処 にまとめてあります。

残土を持ち出すとき、受け入れる側の自治体と、出す側の自治体の両方に条例上の閾値があります。(公財)産業廃棄物処理事業振興財団の講習会テキストは、主な規制内容として、崩壊や流出を防ぐための盛土高や法勾配の規定、一定量以上の搬出時の届出、民間のストックヤードへ搬入する場合の処分業者の許可制度、有害物質に関する土壌分析結果などの添付を挙げ、宅地開発等の埋立てでも届出が必要になる場合があるとしています。閾値の具体的な数字は下表のどおりで、自治体によって1桁違います。

残土条例の面積・量閾値の事例(財団テキストと群馬県の改正資料)
自治体埋立て等の規制(面積など)搬出元・搬入元への規制
埼玉県3,000㎡以上の土砂のたい積等500㎥以上の残土を搬出する場合は処理計画を提出
越谷市・さいたま市500㎡以上の土砂のたい積等市条例での規制
千葉県3,000㎡以上の埋立・盛土・たい積発生元事業者が土砂等発生元証明書に土壌分析結果等を添付
千葉市300㎡以上の埋立・盛土・たい積同様に発生元証明書を添付
神奈川県2,000㎡以上の埋立・盛土・たい積500㎥以上の残土を搬出する場合は処理計画を提出
相模原市事業区域の面積500㎡以上、または埋立て等の高さ1m以上かつ搬入土量500㎥以上発生元事業者が土砂等発生元証明書に土壌分析結果等を添付
兵庫県1,000㎡以上で、埋立前の最も低い地点と埋立後の最も高い地点の垂直距離が1mを超える埋立等面積に加えて高低差の条件が付く
広島県2,000㎡以上の埋立・盛土・たい積500㎥以上の残土を搬出する場合は処理計画を提出
茨城県・栃木県・京都府・和歌山県・徳島県・福岡県3,000㎡以上(茨城県は5,000㎡以上)の埋立等テキストが事例として列挙
群馬県事業区域外から土砂等を搬入して3,000㎡以上の埋立て等を行う場合搬入開始30日前までに搬入計画の届出、搬入前の届出と定期的な土壌検査が必須
  • 処分費を見積で読み落とさない

    見積書に「残土処分」と一行あっても、それが1台の建値なのか1㎥の受入単価なのか、運搬と積込を含むのかが書かれていないことがあります。単位と範囲をその場で確認するのが最短です。計上の読み方は 造園見積書の読み方 にまとめてあります。

  • 異物を先に混ぜない

    同じ土でも、コンクリート片や木くずが混ざるとガラ残土扱いになり、2t車で1台1,000円の差が出ます。分別を現場でやるか業者に頼むかで金額が変わるため、発注前に決めておきます。

  • 客土は受け取る前に試験成績を聞く

    pH、腐植含有量、有効水分保持量、CECあたりは、客土の合否判定に使われる項目です。成績書が無ければ、盛った後に育たない土を直すすべてのコストを自分が負担することになります。