芝生に生える雑草と苔は、まとめて「抜く・刈る」で片づけられがちです。ところが雑草は広まる由来が2通りあり、地下茎や球根で伸びる側は手取りを数回くり返しても同じ場所に戻ってきます。コケは別の話で、芝生がある環境では生えないため、出ている庭は日照・水はけ・風通し・密度・施肥のどこかが崩れているというサインです。このページでは、由来別の対処、刈り高さで発芽を抑える理屈、除草剤が使える条件と使えない条件、成分と対象芝の対応、コケの深刻度3段階を、出典名を書いたうえで並べています。薬剤の薄め方と使用量、防草シートやマルチング材の諸元、費用は、それぞれを専有するページへ接続するだけにしてここでは書きません。

雑草はまず由来で分けます。地中に茎や球根を伸ばして広がる宿根性の多年草と、種子で発生する年草です。多年草の代表としてスギナ・ハマスゲ・チガヤが挙げられていて、これらは手で取っても数回再生してしまい、根絶が困難とされています(トヨタ公式の雑草対策コラム)。いっぽう種子由来のものは、発芽する前に光を届けない、という別の対処が成立します。同じ雑草でも由来がちがうと、同じ抜いても結果がちがう、という前提がこのあとの分岐になります。

もう1つ、厄介な判別があります。コウライシバの芝地に混入したノシバやギョウギシバは、芝生用の除草剤では枯れません(同じ公式コラム)。ノシバもギョウギシバもイネ科で、芝と同じ科だからです。雑草に見える緑が実は近縁の芝だと、薬剤では選り分けできない。だからこの類の混入は、取り除くか、植え直すかのどちらかになります。

発生を防ぐ側で有名なのが光の制御です。刈り高さを3cm以上に維持すると、雑草の発芽に必要な光が遮られる、という説明が公式のコラムに出ています。コラムが挙げている文献は芝草研究 2003 で、出典名が明記されているのでそのまま写しています。土の中に何年も眠って条件が揃うと発芽する埋土種子という仕組みがあるため、発芽させてから抜くより、発芽させないほうが手数が少ない、という理屈です。同じコラムには、床土を数cm被せるだけでも発芽を抑えられる、耕耘してから載せると逆に発芽しやすいので整地してから床土を置く、発芽後1〜2か月で稔実する種があるので稔実前に除草する、という手順も書かれています。

除草剤が使えない条件(季節・経過年数・作業後・剤型で分岐)
条件中身出典
気温気温30度以上が続く真夏は散布しないコーナン商事
芝を張ってからの年数芝植え後1年以内は避けるコーナン商事
直前の作業根切り作業後3か月以内は避けるコーナン商事
剤型土壌処理型は芝に影響するので使用不可トヨタ公式コラム
芝の種類日本芝と西洋芝で使える剤が違うコーナン商事
散布してよい時期散布適期は3〜7月と9月中旬〜10月中旬コーナン商事

この表の読み方は「使える条件」ではなく「使えない条件」です。散布の順番として、芝刈り → サッチ出し → 散布 という列を立てる解説もあります(コーナン商事)。サッチが残ったまま散布すると、粒が芝葉や層に受け止められて土面まで届かない、という理屈が続きます。なお、目土まで含めた更新作業の列は別のページが持っているので、このページでは散布までの列だけを立てています。

選択性除草剤の成分と対象芝(製品別の対応範囲)
製品・剤成分使える芝狙う相手
MCPP液剤MCPP(フェノキシ酸系)イネ科の芝には害がない広葉雑草、スギナ
シバキープALMCPP日本芝とケンタッキーブルーグラス広葉雑草
シバキープエースMCPPとアシュラムの混用日本芝のみ広葉雑草
キレダー水和剤主成分はACN日本芝やベントグラスに影響しないコケ、ゼニゴケ、イシクラゲに専用
シバゲンDFー日本芝、バミューダグラス、センチピードグラス(ベントグラスは除く)コケ

選択性というのは、芝には害がなく雑草に効く、という働き方のことです。フェノキシ酸系の剤がイネ科の芝を傷めず広葉雑草に効くのはその典型で、混用剤は適用できる芝の幅が狭くなります。シバキープエースのようにアシュラムを足した剤が日本芝のみになるのは、足した側の成分が一部の芝に効いてしまうからです。コケ向けのキレダー水和剤は主成分がACNで、日本芝やベントグラスへ影響しないと製品別の解説に書かれています。ここまでは出典の記載を写した範囲で、薬剤の薄め方と使用量はどの出典にも数値がないので書いていません。

コケが生える原因(主因5つと補助要因2つ)
原因なぜコケが勝つのかいま取りうる対処
日照不足芝が弱って隙間ができ、日陰を好むコケが入る枝透かし・障害物の除去
過湿・水はけ不良表面に水が留まるため芝よりコケが安定する表面排水・地下排水の手当て
風通しの悪さ湿気が抜けず、地表的な環境が続く障害物の移動と刈り出し
芝の密度低下隙間があるためコケが定着できる目砂と追肥で密度を戻す
施肥不足勢いが落ちた芝は隙間を埋められない施肥の設計を見直す
土壌の酸性化(補助)芝の生育が落ちる補助的な要因になる土づくりの見直し
サッチの堆積(補助)水を保持した層がコケの床になるサッチングで層を出す

コケについて、複数の解説がそろって書いているのは「環境が崩れているサインである」という点です。梅雨の雨・日陰・風通しの悪さ・水たまりが重なる庭に出やすい、という並びがバロネスダイレクトにあり、主因として日照不足・過湿・風通し・密度低下・施肥不足、補助要因として土壌の酸性化とサッチの堆積を挙げるのが growbetter です。つまり薬剤で表面を処理しても、原因が残っている限り戻ってきます。耕種的な対応と薬剤を組み合わせた長期戦になる、という書き方を同じ出典がしています。

深刻度別の対処(軽度・中度・重度)
深刻度出方使う道具・手順
軽度点在している手取り・熊手で削り出す
中度帯状に広がるレーキとピッチフォークやスパイキング、乾いた川砂・山砂の薄い目砂
重度面で覆っているレーキとエアレーション、コケ専用剤
散布後数日でコケが茶色に変色する放置して残渣になる前に手で除去、か目砂で分解を促す
目砂の質焼砂が勧められる焼いた砂でないと雑草の種子が混じる

重度の面に対しては、穴を開けて通気を入れる方向になります。間隔と深さ、何年に1回掘り直すかはサッチングとエアレーションのページが数値を持っていて、費用と時期の年間配分は手入れカレンダーと計算機が出します。このページでは対処の分岐だけを立て、数値を持ち込みません。

  • 手順の列

    シバゲンDFでコケを処理 → 苔は手作業で取る → 芝刈り → 肥料 → ひたすら芝刈り、という列を1件の個人実践記が5STEPとまとめています。冬は基本的に放置で、苔はレーキで全取りする、という同じ書き手の運用も添えられており、出典は1件の体験談です。

  • この列の読み方

    上の列は薬剤から入っていますが、散布できない条件(真夏・張りての庭・直前に根切りをした庭)では成立しません。順番は1通りに決まる話ではないので、深刻度と照らして自分で組み直す前提で読んでください。

  • イネ科の年草

    スズメノカタビラ・メヒシバ・オヒシバが挙げられています。メヒシバとオヒシバは小さいうちに抜くのが要点で、大きくなると抜きにくくなります(Epark)。

  • 広葉の雑草

    シロツメクサ・タンポポ・ホトケノザなどで、フェノキシ酸系の剤が効く相手です。種子で増えるため、発芽前に光を遮る方向と相性がいい側にいます。

  • やっかいな多年草

    スギナ・ハマスゲ・チガヤ・アレチウリ。地下茎や球根で広がるため、抜いても抜いて同じ場所へ戻り、根絶は困難という前提で付き合います。

日照の時間について、1日5時間程度を目安に、安定した密度を戻すには6時間前後とする実務解説があります。この数値を書いている出典はこの1件だけで、第二の出典を取れていないため、当サイトの判断としては書いていません。庭の測定値としてではなく、日陰の庭で密度が戻りにくい理由の目安として読んでください。

対処が物理作業になるなら、順番と道具はサッチングとエアレーションで確認してください。光を遮る思路を砂利面ではなく花壇や遊歩道で使うならバークチップとウッドチップの違いが近い話で、砂利下のシート施工は防草シートと砂利の施工手順が持っています。張りての庭で土ごと入れ替える判断は芝生の張り方へ移るのが順序として自然です。