サッチングとエアレーションは「年にいつやるか」がひとつに決まりません。同じ暖地型の芝生でも、ある解説は土の温度が15℃以上になった頃とし、別の解説は空気の温度が15℃前後としていて、物差しそのものが違うからです。暦でしか書いていないページもあり、そこでは幅が1本に絞られてしまいます。このページでは時期の閾値を出典・物差し・暦の3列で並べ、間隔として書かれている幅を1㎡あたりの穴数へ当サイトで換算し、更新作業の順番と道具の系譜をあわせてまとめました。目土の厚さと必要な量、施肥の分量、月別の作業配分は、それぞれ計算機と手入れカレンダーのページが専有しているので、ここでは書きません。

まず語の整理です。サッチとは、枯れた芝の葉や古い根が土の上に積み上がった層を指します。薄いうちは問題になりませんが、厚くなるほど水・養分・空気が根まで届きにくくなるという弊害が起きます(トヨタ公式の栽培マニュアル)。放置すると層が締まってマット化し、芝の茎が伸びる匍匐茎そのものがサッチ層の中に入るようになります。そうすると根が浅い位置で済むため、乾燥に弱い芝に変わっていきます。さらに層は病害虫の隠れ場所にもなるという説明が同じ出典にあり、管理の場面では「分厚くなる前に出す」が前提になります。

もう1つ、サッチが直接招く作業上のトラブルとして軸刈りがあります。層の上から芽が伸びると、刃が茎の根本側から入ってしまいます。刈り高さを下げているのに急に茶色く見える庭は、サッチの厚さが原因になっていることがあるというわけです。ここまではいずれも公式マニュアルの記述で、当サイトが独自の理屈を足した部分ではありません。

時期の閾値と暦(出典×物差しを並べる・単一の15℃に統合しない)
出典物差し閾値暦ただし書き
バロネスダイレクト地温15℃以上3月中旬〜6月・9月中旬〜10月北海道は生育期間中いつでも
バロネスダイレクト(寒冷地型)地温25℃から10℃へ下がる秋暖地型とは逆のタイミング
Epark地温15℃以上春4〜6月・秋9〜10月真夏は高温の影響で適さない/寒冷地型は地温5℃以上
暮らしのマーケット気温15℃前後春4〜6月・秋9〜10月暖地型は10〜12℃で生長開始、12℃以下で休眠/寒冷地型は5℃以上
クラブフォレスト暦のみ記載なし2月末〜3月初め休眠期が明ける頃、目土とあわせて行う
共通気温高温7〜8月は避ける真夏は芝がダメージを受ける

この表で見てほしいのは、同じ「15℃」でも測っている対象が違う点です。バロネスダイレクトとEparkは地温、暮らしのマーケットは気温としています。土の温度と空気の温度は春の立ち上がりでずれやすく、同じ日に見ても数字は一致しません。つまり「15℃で始める」という単一の規則にまとめると、どちらかの出典を読み間違えることになるため、このページでは物差しを列に分けて併記したままにしています。暦も3通りあります。2月末〜3月初め(クラブフォレスト)、3月中旬〜6月と9月(バロネスダイレクト)、4〜6月と9〜10月(Epark・暮らしのマーケット)で、幅を1本に絞りません。

間隔・深さ・回数の言い分(前提ちがいを注記して併記)
出典間隔深さ回数前提
クラブフォレスト10cm前後10cmほど記載なし金属のスパイクで穴を開け、水と空気の通り道を確保する
Epark7cm以下10cmを目安記載なし水切れを起こしやすく元気がない場合は15cmまで
暮らしのマーケット記載なし記載なし年1〜2回気温15℃前後が目安
間隔から穴数を換算(当サイト計算・出典に穴数の記載なし)
あける間隔1㎡あたりの穴数換算の式間隔を出典で示したページ
10cm100穴/㎡100÷10=10、10×10=100クラブフォレスト(10cm前後)
7cm約204穴/㎡100÷7=14.285714、二乗で204.081632Epark(7cm以下)

どの出典にも「1㎡にいくつ穴を開けるか」の数字はありません。間隔だけが書かれているので、幅のままでは作業量が掴めません。そこで上のように換算しておくと、10cmと7cmでは穴数が2倍以上ちがうことが分かります。間隔を詰めるほど効果は増えますが、そのぶん作業時間も増えるという前提で、庭の広さと続けられる頻度をあわせて選んでください。深さについては10cmが目安で、水切れしやすい庭は15cmまでという指示があります。両者は対立しておらず、前提がちがうだけなので併記しています(Epark)。

「何年たったら掘り直すのか」も2通りあります。根が密集して生育が悪くなるのは3〜5年としています(クラブフォレスト)。いっぽう、張ってから2〜3年で元気がなくなる庭という言い方があります(暮らしのマーケット)。差が出るのは施肥と散水の設計で、管理の仕方そのものが芝の勢いを左右する側があります。断定は避け、両論を並べておきます。

  • 目土まで含む列

    低刈り → サッチング → エアレーション → 目土、という順番がYahoo!知恵袋の質問でベストアンサーとされています。同じ回答では、まとめて1日にやっても数日に分けてもよいとされています。先に芝を短くしておかないと、サッチをかき出す刃が芝の葉に取られて効率が落ちる、という実務上の理屈が後ろについています。

  • 穴を開けたあとの目土

    エアレーションをしたら間を置かずに目土を入れる、という説明があります(バロネスダイレクト)。穴が空いたまま放っておくと、土も水も入らずに穴だけが残ってしまいかねないからです。目土の厚さと量は当サイトの計算機が出すので、このページでは数字を書かず、計算機への接続だけに留めます。

  • 作業のあとの施肥と散水

    サッチを取り除いたあと、そしてエアレーションをしたあとは施肥と水やりをセットでするという解説があります(cbrbk)。量は庭の条件で変わるため、このページでは定性に留めています。

  • 薬剤を組み込む列

    芝刈り → サッチ出し → 散布 という順序を立てる解説もあります。散布を含む列は対処別のページが持っているので、このページでは持ちません。

  • サッチをかき出す

    サッチングレーキ(バネのようにしなるスプリング式を含む)で土表を撫でるように引くと、枯れ芝と古い根が表面に集まります。ピッチフォークを差し込んで軽く揺するやり方も、土を崩さずに層をめくれる方法として挙げられています。

  • 穴を開ける

    金属のスパイク(クラブフォレスト)、ローンパンチやローンスパイク(Epark)、靴に装着するタイプのスパイクシューズなど、足で踏んで開けるものから手で突くものまで幅があります。

  • 中空コアと実心

    中が抜ける筒状の中空コアと、土を押し広げるだけの実心とがあり、抜いたほうが水と空気の通り道が確保できるという筋書きで語られています(growbetter)。

  • 抜いた土は回収する

    エアレーションをすると引き抜いた土が周囲に集まるため、景観の保全と害中防止のために竹ぼうきやブロワーで集めておく、とEparkに手順として書かれています。穴に土が残ったままだと、その後の目土が入り込みません。

品種による違いを挙げるページは少ないのですが、サッチングとエアレーションは品種による違いはない、という運用側の言い分があります(blog-town)。いっぽう公式マニュアルは、管理の密度でサッチの厚さがちがうと説明しています。刈り込んだ葉が多くて高密度に管理する庭は層が厚くなりやすく、低密度の管理では薄く、自然に分解されることもあるというのです。つまり同じ道具・同じ順番で、頻度だけ庭に合わせて動かす、という運用になります。

作業のあとにつながるのは目土と施肥です。厚さと必要な量がほしいときは芝生の目土計算機で面積から割り出し、年間の一覧として時期と回数を組み直したいときは芝生の手入れカレンダーへ移ってください。張ったての庭で初期管理の話をつなぐなら芝生の張り方が次の入口になります。