駐車場が沈むとき、傷んでいるのは黒い表面ではなく、その下にある砕石の層です。にもかかわらず、ネット上の多くは「アスファルトは3〜5cm」と表層の厚さだけを書きます。このページでは、舗装を構成する5つの層の名称と役割、場所によって違う層厚の目安、路盤材の品目ごとの使い分けと実売の車両価格、転圧の進め方、水はけを決める勾配の基準まで、数値を出典とともに並べます。厚さは「一律の基準はない」と明言している出典がほとんどなので、下表は出典が公表している目安帯をそのまま載せ、どの条件の値なのかを右列に書き分けています。

舗装は上から順に層が重なってできています。計測器レンタル会社のレックスは、各層の役割を「表層…普段目視している、最も表面にあたる部分。荷重の分散や、交通の安全性・快適性などを保つ役割」「基層…表層と路盤の間。上下間の不陸を補正し、荷重を分散させ、下層へ伝える役割」「路盤…表層・基層からの荷重を更に分散させ、路床へ伝える役割。上下2層に分かれていることが多い。材料は砂利や砕石など」「路床…上に舗装を施すための土台(土)の部分、約1mあたりまでのこと」「路体…路床の下の荷重を受ける部分」と定義しています。層を分ける理由はクッション性で、表層で受けた力を分散させながら路体まで伝えるためです。車の重さを実際に受け止めているのは路盤であり、カネケン京葉コミュニティも「路床は一番下の地面。ここが軟らかいと、上を厚くしても沈みます」と書いています。

舗装の層構成と役割(地面から順に並ぶ。出典の定義文をそのまま記載)
層位置役割(出典の記述)ここが弱いと
表層最も表面荷重の分散や、交通の安全性・快適性などを保つひび割れ・摩耗
基層表層と路盤の間上下間の不陸を補正し、荷重を分散させ、下層へ伝える表層の下から凹む
路盤基層の下(上下2層に分かれることが多い)荷重を更に分散させ、路床へ伝える。材料は砂利や砕石上を厚くしても沈む
路床路盤の下、約1mあたりまで上に舗装を施すための土台(土)の部分軟らかい地盤は掘削や砕石で補強が必要
路体路床の下荷重を受ける部分不同沈下の原因になる

厚さの目安は、使い方のほかに交通量・車種・地盤の状態で変わります。レックスは「結論から言うと、一律の基準といえるものはありません。ただし、どういった場所や方法なのかによって、それぞれ目安はあります」と前置きしたうえで、歩道・簡易舗装・一般道路の3例を挙げています。テックワークスは「厚みが不足すると表面がひび割れたり、地盤沈下が起こる可能性が高まります。逆に地盤が固く安定していれば、必要以上に厚みを増やす必要はありません」と、地盤側の条件を強調します。つまり同じ乗用車用の駐車場でも、盛り土直後や水はけの悪い土地では路盤を厚く、締まった地盤なら標準帯でよい、という読み方になります。

用途・場所別の厚さの目安(出典が公表している値。右列がその値の条件)
場所・使い方アスファルト側路盤(砕石)側出典
歩道表層3〜4cm路盤10cm程度レックス
簡易舗装(小規模の駐車場・駐輪場、基層なし)表層3〜4cm(条件によっては2.5cmなども可)路盤15cm程度レックス
一般道路表層と基層で5〜10cm路盤15〜20cm程度レックス
乗用車が中心の月極・自宅駐車場表層3〜5cm程度路盤10〜15cm程度カネケン京葉コミュニティ
商業施設など交通量が多い場所5cm程度以上厚めに調整カネケン京葉コミュニティ
トラック・大型車が出入りする場所5cm程度以上さらに厚く、地盤の確認も必要カネケン京葉コミュニティ
普通車用の駐車場(層で分けた内訳)表層約3〜5cm+基層5〜8cm、合計10cm前後路盤に砕石10〜15cm程度、その上にアスファルト8〜10cm程度テックワークス
大型車・トラックが頻繁に出入りするアスファルトの合計厚み15cm以上路盤を強化テックワークス

この表の中で、自宅の駐車場に一番近いのは「乗用車が中心の月極・自宅駐車場」の行です。路盤を10〜15cm、表層を3〜5cmという帯が業者の標準ということになります。ただし大型車が週に何度も入る場合や、盛り立てたばかりの軟らかい地盤では、同じ帯の中に収まりません。地盤が軟弱な場合は路盤を厚くし、転圧を丁寧に行うことで沈下を防ぐ、とテックワークスは書いています。

層厚を決めるときに効いてくるのが、1層あたり何cmまで敷けるかという制約です。アスファルト合材と同じ理屈で、砕石も一度に厚く敷くと下まで締まりません。テックワークスは「アスファルトは一度に厚く敷きすぎると内部が十分に締め固まらず、強度が出にくくなります。そのため舗装工事では、1層あたり最大で5〜6cm程度に抑え、必要に応じて複数層に分けて転圧するのが基本です」と明記しています。路盤15cmを一度に敷いてならして締める、という作業がなぜ沈みの原因になるのかが、この一文で説明できます。敷く回数を分けるほど機械の往復回数も増えるため、総厚が15cmを超える場合は2層以上に分けて転圧します。

路盤材の品目と用途、販売元が公表している車両別の税込価格(実方ではなく台単位である点に注意)
品目粒径販売元の用途説明2t車4t車
C-4040〜0mm下層路盤材や駐車場等の敷砂利等3,900円6,500円
RC-4040〜0mmC-40とリサイクル材(アスファルトガラ)を混合した、再生路盤材3,000円5,000円
M-4040〜0mm砕石・砕砂を調整配合した上層路盤材4,800円8,000円

3品目はすべて最大粒径40mm・0mm以下の同じ粒帯ですが、役割が分かれています。砕石だけのC-40が下層路盤、砕石と砕砂を調整配合したM-40が上層路盤、アスファルトガラを混ぜたRC-40が再生路盤材です。価格表は「2t車 3,900円(税込み)」のように車両(台)単位で出ており、円/t や円/m³ の単位では公表されていません。運搬込みの価格なのかどうかもこの表には書かれていないため、この頁では円/m³へ換算していません。単位が円/tで公表されている砂利・砕石の価格表と、号数から粒径mmへの対応は、別のデータページ 砂利・砕石の規格データ一覧 にまとめてあります。路盤そのものの必要量を敷く面積と厚さから出すには 砕石必要量計算 を使い、袋で買う場合の枚数は同じページから辿れます。

転圧は「どこから始めるか」で仕上がりが変わります。固まる土の施工資料として知られるユニ・エスの手順には、第一転圧について「専用ローラーで、1往復転圧を行ないます」「最初に端部から転圧を行なってください」と書かれています。端部から内側へ向かって締めるのは、縁が締まらないまま中央から押すと外側へ材料が逃げてしまうためです。表面整正は「木コテ・プラスチックコテまたはレーキで不陸整正を行ないます」「金コテは使用しないでください」と続けて指定しています。金コテで押さえると表面だけをならして粒子の偏りを生むため、この種の材料では使わない、という指定です。散水を挟んだ第二転圧は「散水終了後、専用ローラーで、3往復」「第二転圧は[夏季:10〜15分後、冬季:25〜30分後]を目安」となり、水が浮いた箇所は水が引いてから行うと書かれています。

小型の締固め機械(プレートコンパクター)の仕様帯。メーカー呼称はプレートコンパクタ
項目5机型の実値(小さい順)読み方
運転質量47kg・52kg・59kg・63kg・95kg体重で押さえるほどではなく、機械自身の重さで締める
全幅298mm・298mm・340mm・360mm・485mm帯状に敷設する幅。目地の5m間隔と組み合わせて通路を決める
転圧板幅298×長さ480mm〜幅485×長さ480mm1往復で締まる範囲
振動数96.7Hz(5,800vpm)/106.7Hz(6,400vpm)5机型のうち4机型が96.7Hz
起振力6.4kN(650kgf)〜17.7kN(1,800kgf)95kgの机型だけ17.7kNと大きい
作業速度18〜21m/min〜23〜28m/min自走速度。端部から始める場合の旋回もここに入る
必要免許必要なし特長欄に「必要免許 必要なし」と明記

締固め機械のメーカーとして、酒井重工業は小型締固め機械の仕様表で上記の実値を公表しています。家庭用の駐車場1面を自分で締める場合、転圧板幅が298〜485mmしかないため、広い面を往復するより帯状に区切って端から押さえるほうがむらが減ります。なお、締め固まり具合を評価する試験として、国土交通省の品質管理基準は「平板載荷試験 JIS A 1215」を1,000m²につき2回の割で行うこと、セメントコンクリートの路盤に適用すると規定し、転圧後の表面確認には「プルーフローリング…全幅、全区間で実施する」「荷重車については、施工時に用いた転圧機械と同等以上の締固効果を持つローラやトラック等を用いるものとする」と記載しています。砂置換法による締固め度の規格値と路盤材の強度区分は、補修側の解説ページ 砂利が沈んだ場所の直し方 にまとめてあるため、このページでは繰り返しません。

水はけは厚さと同じくらい駐車場を長く使う条件です。環境省の自然公園等施設技術指針 第3部 第6章 駐車場は、「駐車場の路面の横断勾配は、1.5〜2%を標準とし、排水施設を設ける。排水性舗装、透水性舗装の場合を含め、排水の末端処理を十分に検討し、法面崩壊や末端地区への影響を考慮する」と規定し、「出入口と接続する本線道路の縦断勾配は、7%以下が望ましい」としています。横断勾配は路面の幅に対する高低差、縦断勾配は車の進行方向の傾きです。また同じ指針は、舗装について「砂利舗装、簡易舗装、芝ブロック舗装、アスファルト舗装、コンクリート舗装等の種類があり、利用目的、駐車利用状況、舗装の特性、管理及び経済性を十分考慮し、CBR試験、凍結深度等により舗装材を選定する」と、材料の選び方の入口も示しています。凍結深度とは、その地域で凍害が起きないために必要な深さのことで、寒冷地では路盤をこの深さより下に作るという考え方が入ります。

勾配の実物イメージ(環境省の標準1.5〜2%と、縦断の上限7%を高さに直すと)
勾配幅2mのときの端の高低差幅5mのときの端の高低差使われ方
1.5%3cm7.5cm横断勾配の標準(環境省)
2%4cm10cm横断勾配の標準の上限(環境省)
7%14cm35cm出入口と接続する本線道路の縦断勾配の望ましい上限(環境省)

透水層や暗渠まで含めた水はけの作り方、つまり勾配だけでは抜けない水をどこへ出すかは、暗渠排水の砕石量計算 と 砂利を敷く手順 の側で扱っています。路盤の厚さだけを決めても、横断勾配1.5%を取らずに平らに締めると水が面の中央に残り、凍結とぬかるみで壊れます。逆に厚さを確保しても勾配を付け忘れると、同じ面が数年で沈みます。このページの数値は、見積書で「路盤10cm」や「表層4cm」という行がどの条件の値なのかを読み分けるための基準として使ってください。

  • 路盤が軟らかい土地で最初にすること

    テックワークスは強度が不足している路床について「掘削や砕石を入れて補強します」と書いています。路盤を厚くする前に、軟らかい層を掘って捨てることが前提になります。

  • 見積書で確認する2点

    路盤の厚さと、その層を何回に分けて転圧するかです。合計15cmを1層で敷く見積と、5cmを3層で敷く見積は、同じ厚さでも締まり方が違います。

  • 価格の単位

    路盤材の公表価格は2t車・4t車の車両単位です。同じ粒帯のC-40とRC-40では2t車で900円の差があり、再生路盤材が最も安いという並びになります。