庭の面積が必要になる場面は思ったより多くあります。芝生を張る枚数、砂利を敷く量、花壇の土の量、肥料の量、苗の本数。どれも面積から計算が始まります。ところが「庭の面積を測っておいて」と言われて困るのは、庭がきれいな長方形をしていないからです。実際の庭はL字に曲がっていたり、角が斜めに切れていたり、花壇が円かったりします。このページでは、そうした庭をメジャーで実測して面積を出す手順を、形ごとに分けて説明します。

最初に線を引いておくと、庭づくりのために自分で測る面積は「自分のための参考値」であって、売却や登記に使う測量とは別物です。参考値なら巻尺と電卓で十分足ります。逆に、境界を確定させる測量は自分ではできません。この線引きは最後にもう一度触れます。

実測は、下見から記録までの5つの手順で進めます。順番を守ると、測り直しが減ります。

  1. 下見をする

    庭を一回りして、折れ点(角)と曲がり角に立ってみます。どこからどこまでが測る範囲かを決め、植木鉢や物置など測る邪魔になるものをどかします。

  2. 基準線を決める

    庭でいちばん長い辺を基準線にします。境界のブロック塀や建物の壁に沿ってひもを張ると、まっすぐな基準ができます。

  3. 折れ点に印を付ける

    角ごとに杭を打つか、地面に印を付けます。L字や多角形の庭は、この折れ点を結ぶと長方形と三角形に分けられます。

  4. 分割して実測する

    基準線から順に、分割した図形の辺の長さを測ります。三角形は3辺だけで面積が出せるので、高さや角度を測る必要はありません。

  5. 図と数値を記録する

    方眼紙に測った形を描き、辺に長さを書き込みます。後で計算機に入れるとき、どの数値がどの辺かが分からなくなるのを防げます。

庭の面積を測る道具と用途
道具用途選び方の目安
巻尺(30m)辺の長さを測る家庭用なら30m級が1本あると、庭の1辺を一度に測れる
レーザー距離計長い距離や高低差を測る巻尺が届かない距離や、一人で測るときに使う
水準器水平を確かめる斜面や段差のある庭で、測る位置の高さをそろえる
杭とひも基準線と折れ点の目印結び目に印を付けておくと、等間隔の目安になる
L字の木材直角を確かめる角が直角かどうかを確かめるときに当てる
糸と重り垂直を確かめる杭が傾いていないかを確かめる
方眼紙と筆記具測った値を図にする辺と数値の対応を間違えないために必ず描く

いちばん簡単なのは長方形の庭です。縦と横の2辺を測り、掛けるだけで面積が出ます。縦4m・横6mなら24㎡です。ただし巻尺は端でたわむので、地面に沿わせて張り、数mごとに中間点を取ると誤差が減ります。測った面積を坪で知りたいときは坪㎡換算計算機で換算でき、24㎡は約7.26坪です。

L字の庭は、2つの長方形に分けて測ります。曲がり角を境に長方形Aと長方形Bに分け、それぞれの縦と横を測って足します。縦6m・横4mの長方形に、縦3m・横2mの張り出しが付いたL字なら、24㎡+6㎡=30㎡です。分割の線は、いちばん長い辺から引くと無理なく分けられます。曲がり角が直角でないときは、無理に長方形にせず、次の三角形分割に切り替えてください。

角が斜めに切れていたり、辺が5本以上ある不整形の庭は、折れ点を結んで三角形に分割します。ここが実測の要点です。三角形の面積は、3辺の長さが分かれば高さも角度も測らずに出せます。建設現場でも、複雑な形をした敷地は折れ点を結んで三角形の集まりに分け、三角形の3辺だけを測って面積を出しています。

その計算に使うのがヘロンの公式です。3辺をa・b・cとして、まずs=(a+b+c)÷2を求め、面積=√(s×(s−a)×(s−b)×(s−c))で計算します。5m・3m・4mの三角形ならs=6となり、面積=√(6×1×3×2)=√36=6㎡です。この手順を三角形の数だけ繰り返して足し合わせれば、どんな形の庭でも面積が出ます。3辺を測るだけでよく、垂線を下ろしたり角度を測ったりする必要がないのが、現地で測るうえでの強みです。

ヘロンの公式で三角形の面積を出す(3辺を測るだけ)
三角形測った3辺s(3辺の和÷2)面積
例15m・3m・4m6m6.00㎡
例26m・5m・5m8m12.00㎡
例34m・4m・4m6m6.93㎡

円形の花壇は、中心を探さずに直径1本を測れば面積が出ます。円の面積は「半径×半径×3.14」なので、直径2mなら半径1mで約3.14㎡です。直径は花壇をまたぐように巻尺を張り、いちばん長くなる位置を探すと正確に取れます。円のふちにレンガやピンコロ石を並べる場合は面積より円周が必要で、円周は「直径×3.14」、直径2mなら約6.28mです。円形の花壇が庭の一部にあるときは、長方形や三角形の面積に円の面積を足して合計します。

台形の庭は、上底・下底・高さの3つを測ります。面積は「(上底+下底)×高さ÷2」で、上底4m・下底6m・高さ5mなら25㎡です。高さは上底と下底の間の垂直な距離であって、斜めの辺の長さではありません。ここを取り違えると面積が大きくずれます。

高低差のある庭は、坂に沿った長さではなく水平距離を測ります。斜面に沿って巻尺を張ると斜辺の長さになり、実際の面積より大きく出てしまいます。水平距離を測るには、水準器で水平を出しながら巻尺を張るか、レーザー距離計の水平距離モードを使います。面積は水平距離で出し、斜面の傾きそのものは土留めや階段の検討で別に扱ってください。

  • 長い距離は中間点で区切る

    30mを一度に張ると巻尺がたわんで数十cmの誤差が出ます。5mごとに印を付けて区切り、区間ごとに測って足すと誤差が減ります。

  • 壁際は壁の面から測る

    ブロック塀や建物に沿った辺は、壁の面から壁の面までを測ります。壁の厚みを面積に含めるかどうかで数%変わります。

  • 同じ辺を2回測る

    往復で測って値が違うときは、巻尺のたわみか引っかかりを疑います。2回の平均を採ると安定します。

  • 必ず図を描く

    測った数値を図に書き込むと、分割した図形の辺の対応が分かります。計算機に入れるときの取り違えを防げます。

庭づくりのための面積は自分で測れますが、測ってよい範囲には線があります。自分のための参考値なら、巻尺と電卓で十分です。ところが、売却や登記のための境界確定測量は自分ではできません。境界は隣接者との立会いと筆界確認書の取り交わしが必要で、自分で測った図面には登記や取引に使える効力がないからです。境界の位置は、法務局の図面や登記記録を読んで決めるもので、現地を測るだけでは決まりません。検討段階は自分で測り、手続きの段階になったら測量会社に依頼する、という使い分けが現実的です。

庭の面積を自分で測れる範囲
やること自分で測れるか理由
庭の面積の参考値を出すできる自分のための目安なら、巻尺と計算で十分
花壇や菜園の区割りを決めるできる後で変えられる前提の値なので、誤差が許される
資材の必要量を出すできる面積に厚さや単価を掛けるだけ
境界を確定するできない隣接者との立会いと筆界確認書が必要で、自作の図面には効力がない
登記・売却のための測量できない法務局の図面と登記記録の調査が必要

測った値を計算機に入れると、次の作業に必要な数量が出ます。長方形の庭は庭面積計算機、L字・不整形・円形・台形は形状別の庭面積計算機、花壇の縁取り材の本数は庭周長計算機で求められます。面積が出たら、砂利を敷く量は砂利の必要量計算機、芝生を張る枚数は芝生シートの計算機、土の体積は土量の計算機につながります。

まとめると、庭の面積は長方形なら縦×横、L字なら2つの長方形、不整形なら三角形分割とヘロンの公式、円形なら直径から求めます。共通するのは、斜面では水平距離を測る、必ず図を描く、同じ辺を2回測る、の3点です。測った値は計算機に入れて、芝生・砂利・土・苗の数量まで一気に求めてください。計算の考え方と免責事項はこのサイトについてにまとめています。