庭木は「樹高3mの木」と規格で買ってきても、その3mをどこからどこまで測るのか、根鉢が何cmなのかは、資料によって違います。このページは国が整理した基準(案)と、沖縄県・大阪市などの植栽工事共通仕様書、寒地土木研究所や世田谷区の資料から、測定口径と実寸の表をそのまま写したデータページです。苗木の幹周から根鉢の大きさを割り出すのは根鉢サイズの計算機、その規格を庭でどう選ぶかは庭木の選び方、成長後の枝張りを踏まえた離れは植栽の配置設計が持ちます。cm・号・m³の基礎的な単位対応は単位換算の一覧に譲り、このページは表と定義文だけを置きます。

まず級分けです。高木・中木・低木を分ける線引きは、下に並べたとおり六つの口径があり、同じ1本の木が高木にも中木にもなります。寒地土木研究所の資料は「高木・低木の概念は、明確に定められておらず、分野によってその定義が異なっており、多くは中木の概念はない」と注記し、「基本的には植える時の形状ではなく、成長した段階の樹高から区分するのが一般的である」としています。世田谷区は逆に、植栽時の樹高で四つの区分を定めています。同区は条例の資料の中で、この樹木区分と一般の高木・中木・低木とは概念が異なりますので気をつけるよう注意を呼んでいます。大阪市の帳票は販売・施工時点の実寸で線を引く型、沖縄県も実寸の帯で決める型です。名古屋市が定める道路空間の緑化基準は、並木として列状に植える高木を前提に位置を決める使い分けをしています。規格表を読むときは、値そのものより先に「いつ時点の何を測った値か」を見る必要があります。

級分けの口径(六典の並べ比較)
資料高木の書き方中木の扱い低木の書き方区分の基準時点級
公共用緑化樹木等品質寸法規格基準(案)幹と樹冠の区別が明瞭で樹高が高く伸びる樹木。樹高については明確な基準はないが、一般的に三〜五m以上になるもの定義がない(中木という区分自体を設けていない)十分に生育しても高く生長しない樹木。幹が発達せず株立状のものが多い形態(数値の閾値は目安のみ)A
道路緑化技術基準(寒地土木研究所・平成27年)樹高3m以上の樹木樹高1m以上3m未満の樹木樹高1m未満の樹木成長した段階の樹高A
学術用語の例(同上が転載)「高木(arbor)」主幹が明瞭で高さ8m以上になる樹木なし「低木(shrub)」ふつう根際または地下部で数本の幹に分かれ、主幹が明瞭でなく高さ0.3〜3mの樹木形態と高さの範囲(亜高木 3〜8m を置く)A
世田谷区 みどりの基本条例植栽時の樹高が4m以上で、大きく成長が見込まれる樹木植栽時の樹高が1m以上2.5m未満(準高木は2.5m以上4m未満)植栽時の樹高が30cm以上1m未満の樹木植栽時の樹高A
大阪市 植栽工事共通仕様書目通幹周の帯(高さ1.2mの位置)で刻み、10未満から75以上90未満まで中木・低木は樹高の帯で刻む(同一帳票)同じ表の樹高帯の下側に並ぶ販売・施工時点の実寸A
沖縄県 植栽工事共通仕様書幹周の帯で根鉢を決める(15未満から60以上90未満まで)中木・低木は樹高の帯で並ぶ(別表)中木と同じ表に入る販売・施工時点の実寸(測定は地際から120cm)A

上の表の数値は、原文が全角の数字と別種の波ダッシュで書いているものを、算用数字と「〜」に直して並べただけです。値そのものは変えていません。口径のちがいは誤記ではなく、緑化の量を計算する目的と、苗木を売買する目的が別々なためです。

次に測定口径です。出典は建設省(現国土交通省)が昭和51年の基準(案)を整理し、平成8年に通達資料として出したものの本文で、規格が告示で確定しているわけではありません。だからこのページでは「告示の規格」とは書かず、通達資料の定義文として写します。同じ資料の中で測定位置は「根鉢の上端より一・二m上り」とされており、沖縄県の仕様書は「地際から120cm」、大阪市の帳票は「高さ1.2m」と表記しています。測る高さの数が同じでも、基準点が根鉢の上端か地際かで値の意味が変わる点に注意してください。下の表の右側の列に、各資料の言いぶりを並べました。

用語と測定口径(通達資料の定義文を逐語で転記)
用語公共用緑化樹木等品質寸法規格基準(案)の定義沖縄県の仕様の口径読み方の注
樹高(H)樹木の樹冠の頂端から根鉢の上端までの垂直高をいい、一部の突出した枝は含まない樹高は地際より樹冠の頂端までを示すものとする。ただし徒長枝は含まないヤシ類など特殊樹で「幹高」と特記する場合は幹部の垂直高
幹周(C)樹木の幹の周長をいい、根鉢の上端より一・二m上りの位置を測定する。この部分に枝が分岐しているときは、その上部を測定する幹周は地際から120cmの部位の幹の周囲長を示すものとする幹が2本以上ある場合は下に転記するとおり周長の総和の70%で読む
幹が二本以上幹が二本以上の樹木の場合においては、おのおのの周長の総和の七〇%をもって幹周とする株立ちが指定された場合の幹周は、地際から120cmの部位の各分幹周総和の70%の寸法とする日本緑化センターの解説は、3本立の実例で総和に0.70を乗せて本数に換算している
根元周「根元周」と特記する場合は、幹の根元の周長をいう根元周は植付け後の地際の幹周を示すものとするウメなど幹周を根元周で示すべき樹種は、備考欄に明記されている
枝張(W)樹木の四方面に伸長した枝(葉)の幅をいう。測定方向により幅に長短がある場合は、最長と最短の平均値とする。なお一部の突出した枝は含まない葉張りは樹冠の水平二方向の平均値を示すものとする。測定方向により幅に長短がある場合は、最長と最短の平均値とする沖縄県は枝張りと葉張りの語を分けていない
葉張(W)葉張とは低木の場合についていう低木用の表で葉張りの値を使う国の資料では低木に葉張り、高木に枝張りを使う書き分け
株立数(B・N)株立(物)の根元近くから分岐している幹(枝)の数をいう。二本立は一本は所要の樹高に達しており、他は所要の樹高の七〇%以上に達していること。三本立以上は指定株立数について過半数が所要の樹高に達し、他は七〇%以上に達していること株立ちが指定された場合は、指定以上の分幹本数を有する株立ち物でなければならない表示単位は「〇本立以上」で、本数は二〜、三〜等で表す
単幹・株立単幹は幹が根元近くから分岐せず一本であるもの。株立(物)は樹木の幹が根元近くから分岐して、そう状を呈したものをいう主幹が地際から先端まで通直で単幹であること(ただし株立ちは別)「そう状」とは本数が束になって立つ形のこと

次に、規格として並べられた寸法値のシリーズです。表示単位は樹高(H)・幹周(C)・枝張あるいは葉張(W)はいずれもメートルで示すと書かれています。下に並べた値は、売買と契約で使える規格の帯として列挙されたもので、原文にはこの列の値が落札すべき最低値なのか、参考の目安なのかを意味する注記がない点に注意してください。< >で囲まれた値だけが補助的な値であることが表記から読み取れます。数えた個数(段数)の列だけが当サイトの算出です。

単位・階級の寸法値(メートル表記のまま・段数は本站算出)
級項目寸法値(m・原文の順)段数(本站算出)表記の注
高木樹高(H)0.5 1.0 <1.2> 1.5 <1.8> 2.0 2.5 3.0 3.5 4.0 4.5 5.0 6.0 7.014< >は原文の括弧付きの値
高木幹周(C)0.10 0.12 0.15 0.18 0.21 0.25 0.30 0.40 0.50 0.60 0.70 0.80120.10刻みから始まり0.80まで
高木枝張(W)0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1.0 1.2 1.5 1.8 2.0 2.5 3.0 3.5 4.0171.0m超は0.2刻みでなくなる
低木樹高(H)0.1 0.15 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 1.0 1.2 1.5 1.8130.9の値は並んでいない
低木葉張(W)0.1 0.15 0.2 0.25 0.3 0.35 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1.0130.35のように細刻みの値が入る

この寸法値のシリーズを、樹種ごとに割り当てたものが樹種別の寸法規格です。別表は針葉樹・高木、常緑広葉樹・高木、落葉広葉樹・高木、常緑樹・低木、落葉樹・低木の五つの区分で構成されており、全部の樹種をこのページに写すのは現実的ではないので、庭木で名前の出る10樹種を抽出しました。抽出の仕方は、その樹種の行に設定されていた値の最小と最大の範囲を示す本站抽出の列です。値が「―」になっているのは、寸法値の設定がないもので、0という意味ではありません。幹周が「―」の樹種は、規格として幹周を問わない扱いです。

樹種別の寸法規格(搬入時の値・段数と範囲は本站抽出)
No.樹種区分段数(本站抽出)樹高H(m)幹周C(m)枝張W(m)備考
64ケヤキ落葉広葉樹・高木140.5〜7.00.10〜0.600.5〜4.0樹高だけの段が3行あり、その行は幹周・枝張に値がない
50イチョウ落葉広葉樹・高木92.5〜6.00.10〜0.500.6〜2.5樹高5.5の段がある(シリーズの5.5は無い)
26クスノキ常緑広葉樹・高木150.5〜7.00.15〜0.800.2〜3.0樹高3.0の段が3通り(幹周0.15・0.18・0.21)
31シラカシ常緑広葉樹・高木140.5〜5.00.12〜0.400.2〜1.8樹高2.5まで幹周の設定がない
25キンモクセイ常緑広葉樹・高木71.0〜3.0―0.2〜1.0必ずしも単幹とは限らない
29サザンカ常緑広葉樹・高木61.0〜2.5―0.2〜0.7必ずしも単幹とは限らない
53ウメ落葉広葉樹・高木52.0〜3.50.10〜0.301.0〜1.5Cは根元周とする。必ずしも単幹とは限らない
93アオキ常緑樹・低木70.4〜1.5―0.3〜1.0低木のため幹周の規定なし
94アセビ常緑樹・低木40.4〜0.8―0.25〜0.5抽出した10樹種で最も段数が少ない
95イヌツゲ常緑樹・低木60.5〜1.5―0.2〜0.5葉張りの表記(低木なので枝張りではなく葉張り)

樹高や幹周の規格に対して、根鉢・鉢の方の実寸を帯で決めているのが自治体の仕様書です。まずは沖縄県。幹周の帯(地際から120cmの位置で測る前提)から鉢径と鉢高を読む表で、値は下表の6段だけです。同じ資料の中・低木用の根鉢規格表は、1つのマスに「18.0(11.0)」のように二つの値が並び、どちらの列なのかを示す見出しが崩れて列を復元できないため、このページでは載せません。確度のない表を載せない判断です。

沖縄県 植栽工事共通仕様書の根鉢規格(幹周の帯から鉢径・鉢高)
幹周の帯(原文の表記)鉢径(cm)鉢高(cm)
15未満㎝3026
15以上〜20〃4937
20〃〜30〃6445
30〃〜40〃8356
40〃〜60〃11173
60〃〜90〃159100

大阪市の仕様書は、同じ形式で段の多い表です。注意したいのは列見出しで、帳票の左端の列は表記上「樹高(cm)」となっており、上位段の帯のラベルは抽出すると崩壊します。一方で同じ資料の別表は、この10段を「高木目通幹周 高さ1.2m」として10刻みの帯で並べており、値の並び順と本数が一致するので、上位段は目通幹周の帯として読むほかありません。このページは帯の文字を原文のまま置き、列の名前を勝手に作りません。表1には鉢以外に穴と客土の列が並びますが、それらは植え付けの手順を持つページ領分なので、鉢の列だけを転記します。一方、鉢径と鉢の深さから円柱の体積を計算した値と、公表されている鉢容量の列は、行によって一致したりしなかったりします。計算値が公表値に対して0.707から1.105の範囲にばらつくため、公表されている鉢容量の列がどの寸法の組み合わせから出てきたのかは復元できません。(113cm・74cmの段は0.740m³と近いため、列の対応の傍証にはなります)。

大阪市 植栽工事共通仕様書 表1の中木段(鉢径・鉢の深さ・鉢容量)
帯(原文の表記)鉢径(cm)鉢の深さ(cm)鉢容量(m³)
30未満1580.001
30以上〜50未満17100.002
50以上〜80未満20120.004
80以上〜100未満22130.005
100以上〜150未満26160.008
150以上〜200未満30190.013
200以上〜250未満35230.022
250以上〜300未満40260.032
大阪市 植栽工事共通仕様書 表1の高木段(鉢径・鉢の深さ・鉢容量)
帯(原文の表記)鉢径(cm)鉢の深さ(cm)鉢容量(m³)
10未満33250.017
10以上〜15未満38280.028
15以上〜20未満47330.061
20以上〜25未満57390.110
25以上〜30未満66450.170
30以上〜35未満71480.210
35以上〜45未満90590.400
45以上〜60未満113740.740
60以上〜75未満141911.320
75以上〜90未満1701082.080

沖縄県の111cm・73cm(幹周40〜60)と大阪市の113cm・74cm(上位段の45以上60未満)は、別々の自治体が別々に定めた値として近い帯に収まります。級Aの資料2典が並ぶ例として挙げておきます。一方、家庭の苗物で使われる鉢の号数は、公の規格ではなく業者の商品寸法です。下表は株式会社末吉商店が自社出荷の一番多い鉢について公表している寸法で、単一出典の級Cです。引用元を書いて伝聞で載せる扱いになります。号の表し方や、鉢に入る土の量の対応をまとめた別のページがあるので、この表は直径と高さだけ並べます。深鉢は3号から、浅鉢は4号から公表されており、両方に値がある4〜12号を載せました。

育苗・植木鉢の号別実寸(スリットダオン深鉢・浅鉢/出典表記のまま)
号深鉢の直径(cm)深鉢の鉢の高さ(cm)浅鉢の直径(cm)浅鉢の鉢の高さ(cm)
4号12.510.012.56.5
5号15.512.515.57.5
6号18.514.518.58.5
7号22.517.522.510.5
8号24.520.024.512.0
9号28.022.528.012.8
10号31.024.531.014.3
11号33.527.033.515.5
12号36.529.536.517.3

最後に、規格の行に添えられる状態の表記です。これらは品質ではなく「どう掘ってどう育成したか」を示す語で、国の基準(案)に定義があります。下の表の定義文をそのまま載せる形で読み方の基準にしてください。

状態表示の読み方(通達資料の定義文を逐語で転記)
表記公共用緑化樹木等品質寸法規格基準(案)の定義実務上の読み方
ふるい掘り樹木の移植に際し、土のまとまりをつけずに掘り上げる。ふるい根、素掘りともいう根鉢の土をつけないため、掘ったらすぐ植える前提の扱い
根巻樹木の移動に際し、土を着けたままで鉢を掘り、土を落とさないよう、鉢の表面を縄その他の材料で十分締め付けて掘り上げること運搬で鉢くずれしないよう締めた状態。品質規格側でも鉢くずれのないことを求める
コンテナ樹木等を植え付ける栽培容器をいう容器ごと育成・運搬する苗。掘り取り品とは状態が異なる
仕立物樹木の自然な生育にまかせるのではなく、自然樹形とは異なり人工的に樹形を作って育成したもの形が整っている理由が育成方法によるものだと分かる表記
寄せ株育成物数本の樹木を根際で寄せて、この部分を一体化させて株立状に育成したもの自然に分いた株立とは別物として読む
接ぎ木物樹木の全体あるいは部分を他の木に接着して育成したもの台木を使うため、根の張りが実生の個体と違う前提で読む
単幹幹が根元近くから分岐せず一本であるもの株立指定の苗と見分けられる
株立(物)樹木の幹が根元近くから分岐して、そう状を呈したもの。株物は低木でそう状のものをいう本数は株立数(B・N)で示す
  • このページが載せていない数値

    業者さんの見積書で等級として使われる「秀」「特秀」の呼称は実在しますが、どの樹高・幹周が秀で、特秀なのかを並べた対応表を、ここで引用できる公的・業界の資料として確保できなかったため載せていません。国の基準(案)の品質規格の欄は「〜すること」という適否の判定文で構成されており、等級の数値表ではありません。

  • 根鉢の大きさの割り出し方

    このページは規格として並べられた鉢・根鉢の実寸だけを持ちます。幹周や樹高から根鉢を割り出すための倍率は、上でリンクした計算機の持ち分です。同じ計算機とは役割を分けて使ってください。

  • 商慣用の記号

    植木商の現場で使われるとされる生・ボラ・自在・矢羽といった記号は、このページで引ける公的・業界の出典が確保できませんでした。そのため状態表示は国の基準(案)に定義がある語だけに限定しています。