庭の広さを知ろうとすると、4つの数字に行き当たります。登記簿に載っている地積、建築確認の図面が根拠にしている敷地面積、不動産広告の面積、設計図面から読み取れる面積です。どれが正しくてどれが間違いなのか、という問い方自体がずれていました。根拠にしている法律が違うので、違う数値になっていて当たり前だった、というのが結論です。このページでは不動産広告の面積表記が公正競争規約の施行規則のどの号で決まっているのかを号単位に追い、㎡表示と坪の併記、小数の扱い、公簿面積と実測面積、登記の地積と敷地面積の違いを、庭として使える広さに直す読み方としてまとめました。単位そのものの式と導出は単位換算表が持っているので、ここでは繰り返しません。

最初に、どの資料にどの面積が書かれているかを並べます。庭として使える広さは、このうちのどれを見ているのかを明示しないと決まりません。

資料ごとの面積の名前と法源(4つの資料の読み替え)
資料面積の名前庭の実務での読み方
登記簿(不動産登記法)地積登記上の地積は、道路部分に相当するセットバックした部分も含んだ値です。実際に歩ける広さとは別の数字です
建築確認申請(建築基準法)敷地面積建ぺい率と容積率をかける敷地面積は、セットバック部分を算入しません。登記の地積とは基準が違うため、同じ土地で2通りの値が出ます
不動産広告(宅地建物取引業法の表示規制)表示面積㎡表示が基本で、土地の面積は水平投影面積を出します。坪の併記は慣行側に残っている単位です
設計図面・配置図図面から読む面積縮尺を2乗して実面積に戻します。読み手順は図面のページが担当します
造園・外構の見積坪で数量を出す現場の慣行見積の坪がどの資料の㎡から来たのかを逆にたどると、数量の根拠が確定します

広告の表示は、宅地建物取引業法にもとづく運用基準として作られた不動産の表示に関する公正競争規約と、その施行規則で決まっています。面積まわりで効いてくるのは施行規則の面積の項で、面積はメートル法により表示すること、この場合において1平方メートル未満の数値は切り捨てて表示ことができること、土地の面積は水平投影面積を表示すること、建物の面積は延べ面積を表示し車庫や地下室の面積を含むときはその旨と面積を表示すること、地目は登記簿に記載されているものを表示し現況の地目と異なるときは現況の地目を併記することが並んでいます。価格の側では、1区画当たりの価格を表示するのが原則で、1区画当たりの土地面積を明らかにして算出する場合に限り1平方メートル当たりの価格で表示できること、現況有姿分譲地では分割可能最小面積を明示して1平方メートル当たりの価格を表示することが決まっています。広告の面積が㎡で書かれる理由はここにあります。

では坪を書いてはいけないのか、という点が分かりにくいところです。施行規則はメートル法表示を求めていますが、坪の併記を禁じる条文になっていません。ここで効いてくるのが語の出現で、本站が手元の施行規則のPDFを「坪」で全文検索したところ、面積の単位としての坪は一度も現れませんでした。坪は規約の条文の外にあり、表示主側の慣行として残っている単位です。実務の解説では、不動産広告では壁の中心線で測った面積、登記では内法で測った面積を使うと整理されていて、広告の数字が登記より広く見えるのはこの違いです。住宅ローン控除の判定は登記側の面積で見るため、広告の数字が50平方メートルちょうどでも登記が49.9平方メートルなら要件を外す、という注意も同じ系統に出ています。

もう一つ、広告で間違えやすいのが丸めの方向です。九州の不動産公正取引協議会は、物件の面積に関する記載について広告の内容が実際の物件と異なるのではないという指摘が多く寄せられているとして、面積を切り上げて表示している事例を挙げて注意を喚起しています。平米数・坪数・畳数などの小数点以下を切り上げて、実際の面積よりも広く表示されているという中身で、この種の表示は規約第23条(8)に抵触し、指導等の対象となる可能性があるとしています。注意を喚起している側が引用している施行規則の条項番号が第9条(13)で、現在のPDFでは同じ内容が第11条(13)に置かれています。条文番号が動いた2022年の改正のあとで、古い番号のまま転用している資料と新しい番号に直している資料が混在しているため、条文をたどるときは番号だけでなく本文で照合してください。

小数の扱いには、切り捨ての運用規則も出典が残っています。不動産関連の協議会の問答集では、面積の小数点以下の端数を記載し切れない場合、必ず端数を切り捨てて記載してくださいとして、建物面積123.456㎡なら123.45㎡、坪数は45.2568坪なら45.25坪という例が紹介されています。第3位を捨てる運用と、1平方メートル未満を切り捨てられるという条文の決まりとは別物なので、表示の丸め方と条文のどちらを参照しているのかを分けて読む必要があります。坪の定数も1つではありません。同じ問答集は1坪を3.3058平方メートルで計算することを推奨としています。ある不動産調査会社の解説には、物件概要に「1坪=3.3025平方メートル(121分の400)にて計算。㎡・坪表示共に小数第2位以下切り捨てのため全て約表示」という注記を載せている会社があると書かれていました。この3.3025という値について、なぜそうなるのかは書かれていません。原因の推定は立たないので、ここでは差率だけを示します。厳密値との差を割るとマイナス0.0994パーセントになります。

坪の定数が4つ併存している(同じ面積が違う坪数になる)
定数を出している資料1坪の値使い方と注意
協議会の問答集の推奨3.3058平方メートル厳密値を小数第4位で丸めた数と一致します。端数は切り捨てて記載するという運用も同じ資料にあります
登記実務の参考とされる昭和41年3月1日民事甲第279号の通達3.30578512平方メートル1万坪未満の換算に使う値として解説に挙げられています
同じ通達解説に並ぶ1万坪以上側の値121分の400平方メートルこの分数が厳密値です。式と導出の表記は単位換算表のページが持っています
ある不動産会社の物件概要の注記3.3025平方メートル厳密値との差率はマイナス0.0994パーセント。なぜこの値になるのかは書かれていません

契約の進め方で庭の広さが変わってくるのが、公簿面積と実測面積です。登記簿に載っている地積にもとづいて取引するのが公簿売買、実際に測量した面積で売買するのが実測売買で、不動産会社の実務解説では、公簿売買では売主・買主はお互いに代金の増減を請求しないという特約が標準だと説明されています。面積が後から増えても減っても精算しない、という取り決めです。実測売買へ切り替える場合は、測量して地積を確定させる流れになり、重要事項説明書にどちらの方式かが書かれます。庭の境界際にフェンスや物置を置こうとしたとき、公簿の地積だけを信じて外へ出ると越境になるため、使える範囲の線は実測か境界確定測量側で取ることになります。

登記の地積と実測が食い違っているとき直すのが地積更正登記です。土地家屋調査士事務所の解説では、宅地180平方メートル、隣接地6筆という条件で、費用の中央値372,584円、平均390,316円という幅としています。この金額について、登録免許税は地積更正登記にかからないとしています。期間は別の事務所の解説で2ヶ月から4ヶ月程度とされています。費用の負担については、造成工事の解説に地積更正は売主側が負担するのが実務上の基本と書かれています。庭の広さで施計画を詰めているなら、この数ヶ月が工事に効いてきます。

ここで、登記の地積と建築基準法の敷地面積がなぜ違うのかに戻ります。建築確認申請は建築基準法などに、登記の申請は民法・不動産登記法などに基いていて、計算の基となる法律が違うため、登記面積の方が少なくなる事は珍しくありません。確認申請の面積と登記面積が違うこと自体は法律上の計算方式の違いなので問題ではなく、ただし金融機関が担保にするときに説明の理由書求められることがある、と実務の解説には出てきます。もう一点、建ぺい率を問題にするときは登記簿に記載されている情報で計算してはならない、と注意している解説もあります。登記簿の地積にはセットバック部分が含まれるのに対して、敷地面積は算入しない決まりなので、登記の情報で割ると建ぺい率が小さく出て安全側に見えてしまうからです。確認申請の時点の値がほしいときは、市区町村の建築部署に置いてある建築計画概要書をのぞくのが近いそうです。このページでは書き切れないので、図面の読み手順は図面から庭の面積を読む方法に置いています。

最後に、数値が示す広さを体感に落とします。坪や平方メートルの羅列では、庭が使えるか決まりません。普通自動車の縦列駐車1台分として確保すべきスペースは約3.7坪、12.5平方メートルが目安で、寸法なら長さ5.0m×幅2.5m以上という解説があります。国土交通省が定める駐車場設計・施工指針では少しゆとりを持たせた長さ6.0m×幅2.5m、つまり約4.5坪、15平方メートルが原則とされています。家庭菜園は趣味レベルで5〜10坪、本格的で20〜30坪、50坪以上は半分農地という幅で示した解説があります。緑化の条例側から見ると、箕面市の算例では敷地面積117.16平方メートルに10%をかけて緑化面積11.72平方メートルとしています。同じ趣旨の協議運用で、千葉市の回答はマンションの専用庭について、特定の居住者のための施設であることから緑化協議における緑地として認めていません。庭という名前がついていても、敷地の緑として数えられない区画がある、ということです。

面積の数字を実感の広さに翻訳する表(出典に幅があるものだけ)
用途数値の目安出典の言い分と注意
普通自動車1台分のスペース約3.7坪=12.5平方メートル(長さ5.0m×幅2.5m以上)駐車場運営向けの解説の目安。寸法が下限で、ドアの開閉を考えると苦しい
同じ1台分をゆとり側で取ると約4.5坪=15平方メートル(長さ6.0m×幅2.5m)国土交通省の駐車場設計・施工指針ではこれが原則とされています
家庭菜園趣味レベル5〜10坪、本格的20〜30坪50坪以上は半分農地という幅。坪で書かれているので登記の㎡に戻して比較します
緑化協定の緑化面積敷地面積の10%前後箕面市の算例では117.16平方メートルの敷地で11.72平方メートル。高木1本と低木何本という本数の割り出しが続きます
マンションの専用庭緑地に不算入千葉市の回答では、特定の居住者のための施設なので緑化協議の緑地として認めないとされています

読み方をまとめると、広告の面積は㎡表示で、1平方メートル未満は切り捨ててよく、土地は水平投影面積、坪併記は規約の外に残った慣行です。登記の地積と敷地面積は法源が違うので、差が出て当然でした。契約が公簿売買なら、その地積がそのまま取引の単位になります。庭の使える広さを決めるには、資料の面積を㎡に揃え、図面があれば実測と照合し、必要な区画だけを足し引きするのが順序です。㎡と坪の往復は坪と平方メートルの計算に、区画を分けて足す作業は庭の面積計算に計算機を置きました。単位系の話として、庭の材料の数量まで落とす導線も同じページから辿れます。

このページは表示の読み方に限った解説で、契約書類のレビューや個別物件の判断は扱っていません。境界を法的に確定させる測量は専門家がいる別の話です。数字の言い分け方と出典の扱いについての方針はこのサイトについてに書きました。