庭の広さを実測して、砂利や縁石の数量まで決める途中で、いちばん損なのが測り直しです。巻尺を張り直したら対角の長さが食い違った、建物が邪魔で奥の1本が測れていなかった、図面に写してから辺が1本足りなかったと分かる。このページは、実測を一度で終わらせるための検算の手順に絞りました。四隅に印を打ったら対角を2本測る、測れない区間は間接的に埋める、どれだけずれたらやり直すかを自分の基準として決めておく、二人で役割を分けて現場に印と写真を残す、の4点です。面積の出し方そのものは「庭の面積の測り方」が担当するので、ここでは繰り返しません。
実測の並びは、庭として使う範囲の四隅に杭や印を打つ、辺を1本ずつ測る、対角を2本測る、障害物で測れない区間を間接的に埋める、図面に書き写す、です。先に決めておくのはどこからどこまでの線かという点で、境界確定測量のように筆界を専門家が定める作業は施主側ではできません。一方で、庭として使っている範囲の寸法を自分の図面用に取ることはできます。辺の取り方や、整形・不整形の区間への公式の当てはめは先行ページ「庭の面積の測り方」に譲るので、このページは検算と失敗防止だけを書きます。リンクは庭の面積の測り方に置いています。
四隅が直角に立っているかの検算は、対角線を2本測ります。2本とも同じ長さなら矩(直角)が立っています。長さが食い違えば、四隅のどこかが動いている合図です。建築の現場でも同じ考え方の検算が行われていて、許容できる差は工程や工種で変わるため、共通の数値は決まっていません。現場のルールとして運用されているのに、やり直しの線だけ曖昧に置くのがいちばん困るので、本站の基準を一行だけ先に書いておきます。対角2本の差が1cmを超えたら四隅から打ち直し、1cm以内なら測り直さずに先へ進む。この目安は本站が庭の実測で使っている経験値で、工事の規格ではありません。
| 障害物 | 測り方 | 気をつけるところ |
|---|---|---|
| 物置 | 手前の辺と奥の辺を物置の側面で追い出し、測れる区間だけを足す | 物置自体の寸法はカタログの数値で代用できますが、設置位置のズレは残ります |
| 室外機 | 本体を避けて基準線を外側へずらして張り、ずらした分だけ引き算する | 配管線をまたいで測ると位目がずれます。排熱と振動で印が動くこともあります |
| 植木 | 幹の中心を1点とみなして、中心から中心まで測る | 枝と葉で巻尺が曲がります。根元に盛り土がある場合、地表が基準になりません |
| 境界のブロック・フェンス | 越えない。外周を迂回して測り、内側の寸法は図面で埋める | 隣地側へ巻尺を出すと越境になります。フェンス越しの測定の落とし穴は後の章に書きました |
| 段差・傾斜 | 斜めに張った長さそのものではなく、水平の距離として取る | 高低差は水準器か水盛り管で取ってから補正します |
測れない区間の埋め方には、数値の残っている手法が3つあります。1つ目は図面の縮尺で割り戻す方法です。外構・土地の実務解説では、壁などの障害物で奥行の直線距離を実測できない場合に備えて、図面上の間口4cmを実測の間口20m、つまり2,000cmで割って0.002を出し、縮尺は500分の1としています。同じ縮尺で図上の奥行を測れば、実測の代わりに奥行が求められます。2つ目は既設の部材の枚数で概算する方法です。境界のブロックや側溝の縁石は1枚あたりの長さがほぼ決まっているので、枚数を数えて目安を出す、という現地の調べ方を紹介している調査手順のページがあります。3つ目は基準線を引いて三角比で偏移を出す方法で、建設現場の測量の解説では、基準線からの角度をθ、基準線に沿った距離をaとして斜辺を求め、θが30度、aが40mの例で約46.2mとしています。
- 同じ辺を2回測った差
巻尺を張り直してもう一度測り、差が出たらどちらかを捨ててやり直します。1回の値だけを信じないのが原則です。
- 対角2本の差
先の目安どおり、1cmを超えたら四隅から打ち直しです。印を打ち直すと辺も取り直します。
- 傾斜がある場所
斜面を斜めに張った長さと水平の距離を混ぜません。高低差を取り直して、水平の値だけを記録します。
- 器具の調子が悪いとき
巻尺の目盛りが破損していたら、その先は測れません。読める長さに区切り直すか、器具を替えてやり直します。
- レーザーの値がばらつくとき
同じ位置で数回打つ、別角度からも当てるなど条件を変えて確認します。ばらつくまま1本の値を決め打ちしません。
- 記録が足りないとき
二重チェックができるうちに取っておきます。同じ辺を別の器具で測る独立した確認を1回足すと、後で検証できます。
巻尺側の誤差も、量としては小さくても積み上がります。鋼帯の捲尺の補正をまとめた業者のページでは、30mのテープについて、温度で3.5mm、張力で2.9mm、たるみでマイナス2.0mm、合計4.4mmとして、真の長さを30,004.4mmとしています。もっとも、この足し算の部品は丸めた値で、丸める前の値をそのまま足すと4.39mm側の乗ります。庭の実測で効いてくるのはこの桁ではなく、テープを空中に張ったときに生まれるたるみと、地面を引きずったときの伸びです。道具の精度は出典に数値がある行だけを表にしました。
| 器具 | 出典の言い分 | 庭での使いどころ |
|---|---|---|
| 気泡の水準器 | JIS規格の感度は1種0.02mm/m、2種0.05mm/m、3種0.1mm/mと定められている。建築作業や家庭では2種・3種で足りるとする解説があります | 1mの間に1cmの高低差があれば測れる目盛りとして使います |
| 水準器(外構での実用) | 精度は1m当たり±1〜2mm程度が一般的で、外構工事には十分な性能とされています | 区画ごとに辺の水平を確認する |
| レーザー水準器 | 測定範囲は機種で10〜100m、外構では30m程度をカバーできれば十分とされています | 広い庭で1本の線を遠くまで通す |
| 水盛り管 | 各杭の計測数値から150ミリを引いた数値が基準杭との高低差になるとする実例があります | 日中や開けた屋外で水平を移す |
| レーザー距離計 | 測定誤差はわずか±1〜2mm程度、50mが測れて±1.5mmの機種が紹介されています | 手の届かない奥行き。黒い面・鏡面・凹凸では差が出ます |
| 鋼帯の捲尺 | 30mで温度・張力・たるみの補正を合計4.4mmとする数値例があります | 地面に沿って引いた長さを水平の距離に置き換えて使います |
水平距離の取り方で数値が残っているのは、水盛り管の実例です。透明のチューブで水位を揃えて基準杭の高さを移す方法で、実務の解説では各杭の計測数値から150ミリを引いた数値が基準杭との高低差になるとしています。その実測例では、ある杭が基準より70ミリ、別の杭が230ミリ低い、という数の並びが紹介されていました。水盛り管も水準器も、斜めに張った長さではなく水平の距離を取り直すための道具です。フェンスごしにレーザーを打つと、向こう側の面に当たったつもりが手前の金網で返ってきて値がばらつく、という落とし穴も現場向けの解説に書かれています。
最後に、1人では精度が出ない区間を二人で片付ける話です。測量の現地調査の手引では、20〜50mの巻尺は2人いないと測量しづらい、高低差や傾斜のある土地は2人以上いると作業がしやすい、目盛りは後で資料として使うため写真に収めておく、現場で判明したことは赤ペン、役所で判明したことは青ペンで記録するなど筆記具を使い分けると便利、複数の場所で幅員や高低差を測って平均した数値を採用する、と書かれています。テープのたるみを抑えられて精度が安定するので、狭い現場でも可能な限り二人一組が望ましいとする解説もあります。役割は次の表のとおりに分けます。
| 役割 | 何をします | コツ |
|---|---|---|
| 押さえる側(先端) | 巻尺の先端を杭や壁際に押さえ、テープが緩まないように引っ張ったまま待ちます | たるみがあると精度が出ません。合図は声ではなく手で送ると風の日に届きます |
| 読む側(本体) | 数値を読んで、その場で図面とメモに書き込みます | 同じ辺を2回測れるので、二重チェックがこの時点で済みます |
| 写真 | 測るたびに目盛りが写った写真を残します | 現場で取った値をあとで検証できる唯一の記録です |
| 赤ペン | 現場で判明した寸法と障害物を地図に書き込みます | 青ペンと分けておくと、実測と資料の線が混ざりません |
| 青ペン | 登記・公図など役所で得た情報を地図に書き込みます | 推測で確定線を描かず、確認が必要な範囲として残します |
| 地面の印 | チョークやマスキングテープで測点そのものに印を残します | 杭を打てない舗装面でも、同じ位置をやり直せます |
検算まで終わったら、その値を面積と周長に落とします。辺の長さを入れる場所は当サイトの計算機で、整形の区画なら庭の面積計算、三角形や台形に切り分けた区画なら図形の庭の面積計算、フェンスや縁石の長さなら庭のまわりの長さ計算を使います。単位は平方メートルで入力して、坪や畳の数がほしいときだけ単位換算のページへ出てください。
このページは、施主が自分で測る範囲の話に限っています。筆界を確定させる測量は専門家がいる別の話で、当サイトが狙っているのは、庭の材料の数量を自分で決められる寸法を取り直す手間をなくすことです。サイトの構成と計算機の考え方はこのサイトについてに書きました。