毎日水をあげているのに植物が枯れる、というのはよくある失敗です。原因はたいてい水の量ではなく、あげ方とあげる時刻、そして土が乾く前に次をあげてしまうことにあります。水やりは回数を数える作業ではなく、土と植物の状態を見て判断する作業です。このページでは、水やりの三つの基本からはじめて、時間帯の選び方、季節と地植え・鉢植え別の頻度、1回にどれだけの量をあげるかの数値、水不足と根腐れの見分け方までをまとめました。

水やりで一番大切なのは、決まった回数をこなすことではなく土の状態を見ることです。植物は水だけでなく空気も根から吸収するため、一旦乾くまで待つことが重要です。土の表面が湿っている状態で水をあげ続けると、根が呼吸できなくなって根腐れを起こします。雨が降った翌日、日陰の場所、風通しの悪い場所では土がまだ湿っていることがあるので、同じ庭の中でも場所によって水やりの必要性は変わります。

  • 土が乾いてから

    土の表面が乾いて白っぽくなっていたら水をあげる合図です。水を含んだ土は黒っぽく見えるので、色の変化で見分けられます。ピートモス主体の土など色が変わりにくいものは、土を触ってさらっとしていれば乾いているサインです。表面が乾いて見えても鉢の中が湿っていることがあるので、大きな鉢に小さな苗を植えている場合は中も確かめてください。

  • たっぷりと

    あげるときは鉢底から水が流れ出るくらいまでたっぷりとあげます。根は鉢の中で側面や底に向かって伸びるため、少量を毎日あげると土の表面しか湿らず、肝心の根全体まで水が届きません。たっぷりあげることで土の中の水分と空気が新鮮なものに入れ替わり、栄養分の吸収もよくなります。受け皿にたまった水は必ず捨ててください。

  • 根元に

    ジョウロやホースのノズルをシャワーにしているときは注意が必要です。こんもり茂った植物は葉に水が遮られて株元に届いていないことがあります。花に水がかかると萎れてしまったり、葉に水がかかると傷んだりする植物もあるため、花や枝を抑えて根元の土にたっぷりとあげます。水は根から吸収するので、葉や花だけ濡らしても意味がありません。

水やり前に確認したいのは、土の表面が乾いているか、葉がしおれていないか、鉢が軽くなっていないか、日当たりや風通しが強すぎないか、最近雨が降ったかの5点です。鉢を持ち上げて軽く感じていれば土が乾いています。この5つを見る習慣がつくと、回数を決めなくてもあげるタイミングが分かってきます。

時間帯別の判定と理由
時間帯判定理由
朝(気温が上がりきる前・午前9時頃まで)最適日中の光合成に備えられる。朝にしっかり水を与えることで植物は日中の暑さに耐えやすくなる
真昼(炎天下)避ける鉢や土、地面が熱くなっており、水が熱湯になって根を傷める。鉢の中が蒸れて根に大きな負担がかかる
夕方(日が傾いて気温が下がってから)猛暑日は可朝与えても夕方にしおれるとき。鉢植えや植栽して間もない庭木は朝夕2回が必要なことがある
避ける葉が一晩中濡れたままになり、病害虫が繁殖しやすくなる
氷点下になる寒い日の午後避ける日が暮れて氷点下になると鉢の中の水が凍り、根が傷む。寒い日の水やりは午前中に終わらせる

夏はホースの中の水にも注意が必要です。日向に置かれたホースの中の水は、最初に熱湯のような温度で出てくることがあります。水やり前には必ずホースから出る水の温度を確認し、最初の熱い水を流してから冷たい水になった状態で植物に与えてください。真夏の炎天下で水やりをしなければならない場合は、鉢ごと涼しい場所に移動させてから行うのが安全です。

月別の水やり頻度(鉢植えと地植え)
鉢植え地植え(根が張った庭木・多年草)
3〜4月2日に1回雨だけで十分。雨が降らない日が続いたら月に2回程度
5月毎日雨だけで十分。植えて1年以内は土が乾いたら
6月毎日(雨の日はしない)雨だけで十分。植えて1年以内は土が乾いたら
7〜8月毎日(理想は朝夕2回)土が固くなるほど日照りが続いたら
9月毎日雨が降らない日が続いたら月に2回程度
10〜11月2日に1回雨が降らない日が続いたら月に2回程度
12〜2月週1〜2回極端に雨が降らなければ月に2回程度。2週間に1回は土の乾きを確認

地植えと鉢植えでは、あげる量も考え方も違います。鉢植えは土の量が限られているため乾きやすく、真夏には朝に水をやっても夕方には乾いていることがあります。鉢底から水が流れ出るまでたっぷりあげるのが基本です。一方、地植えの庭木は基本的に雨水で育ち、乾燥が続く時期に2〜3日に1回程度、根元にたっぷりあげれば十分です。地植えで大切なのは表面だけを濡らすのではなく、根が張っている深い部分まで水を届けることで、ホースで数秒かけただけでは表面が濡れるだけで終わります。根元にゆっくりしみ込ませるように、時間をかけてあげてください。

1回あたりの散水深さと量の換算(散水深1mm=1L/㎡)
対象1回の散水深さ1㎡あたり頻度の目安
地植え(花壇・庭木・野菜)10mm10L春・秋は週2回、夏は週5回
芝生(夏)15mm15L週5回(朝夕に分ける場合は1回7〜8mm)
芝生(春・秋)10mm10L週2回
芝生(冬)0mm0L休眠期のため原則不要
鉢植え(5〜6号鉢)鉢底から流れるまで1鉢あたり0.6L春は1〜2日に1回、夏は朝夕2回、冬は週1〜2回

散水の量は深さ(mm)で考えると分かりやすくなります。1㎡の面積に深さ1mmの水をまくと、1㎡×0.001m=0.001m³=1Lです。つまり散水深のmmと1㎡あたりのリットル数は数値が一致し、面積(㎡)×散水深(mm)=リットル数になります。地植えの1回をおおむね10mmとすると、10㎡の花壇なら1回100Lです。芝生は春87L/㎡、夏325L/㎡、秋87L/㎡を月ごとに重ねて年間約1,497L/㎡になります。自分の庭で必要なリットル数と、ホースで何分かければよいかは、庭の散水量計算機散水時間計算機で計算できます。芝生については芝生の散水量計算機が季節別の目安を持っています。

やりすぎの害は、足りないときより気づきにくいのが厄介です。水が多すぎると土の中の空気が押しのけられて根が酸欠状態になり、水を吸えなくなります。その結果、水をあげているのに葉が黄色くなったり元気がなくなったりします。土が常に湿った状態は病害虫の温床にもなり、肥料分が流れ出して効かなくなる原因にもなります。水がすぐ乾いてしまう場合は水のやりすぎではなく鉢が小さすぎる可能性があるので、植え替えを検討してください。逆に水はけが悪くて常に湿っている土は、花壇の土配合計算機でパーライトやバーミキュライトを足す配合に組み替えると改善します。

水不足と根腐れの見分け方
見る場所水不足根腐れ(やりすぎ)
土の状態カラカラに乾いている常に湿っている
葉の色葉の色が薄くなる葉が黄色くなる
葉の形しおれる・内側に丸まる・葉先が茶色く枯れるしおれるが、水をあげても回復しない
新芽と枝新芽の伸びが悪い・枝先が枯れ込む新芽が出ない・株元がぶよぶよする
落葉落葉が増える葉が黄色くなって落ちる
鉢の重さ軽い重いまま変わらない
対処根元にゆっくりしみ込ませるようにたっぷりあげる水をあげてしまうとかえって悪化する。水をやめて乾かし、根が傷んでいれば回復しないこともある

葉がしおれているからといって、必ず水不足とは限りません。根腐れを起こしている場合も同じように元気がなく見えます。見分けるには土の状態を見るのが確実で、土がカラカラに乾いていれば水不足、常に湿っているのに元気がなければ根腐れを疑います。元気がないからとたくさん水をあげると、根腐れの場合は逆効果になります。

葉水(はみず)とは葉に直接水をかけることで、時期と植物の状態に注意すれば有効です。葉の表面温度を下げる、乾燥を防ぐ、ハダニなどの予防になる、葉についたホコリを落とす、葉の艶を保つといった効果があり、エアコンの風が当たる室内の観葉植物では乾燥対策にもなります。葉水は朝か夕方に行い、真昼の強い日差しの中では避けてください。病気が出ている植物に何度も葉水をすると湿度が高くなって病気が広がるため、葉に斑点がある、カビのようなものが出ている、葉が傷んでいる場合は状態を見ながら行います。

植え替え直後、剪定や切り戻しの直後、そして植栽して間もない樹木は、ふだんより手厚い水やりが必要です。植え替えたばかりの苗は根がまだしっかり張っていないため水切れしやすく、地植えにした場合も完全に根づくまではしおれないように水をあげます。剪定や切り戻しのあとも、土が乾いていたらたっぷりあげると回復する力が促されます。庭づくりや植栽工事のあとに特に気をつけたいのが植えてすぐの樹木で、まだ新しい場所に根が張っておらず、土の中から自分の力で十分に水を吸い上げられない状態です。見た目はしっかり植わっていても根はまだ新しい環境に慣れていないため、植栽直後の樹木には朝夕2回の水やりをおすすめします。この時期に水切れを起こすと、葉がしおれたり枝先が枯れたりして、その後の成長に影響が出ます。

  • 乾燥気味に育てる植物がある

    忘れな草、カンパニュラ、千日紅、ガザニアなどは乾燥気味に育てるとよい植物で、土が完全に乾いてから水をあげます。こうした植物を花壇に地植えしている場合は、ほとんど水やりの必要がありません。

  • ウォータースペースを残す

    プランターや鉢は縁から2〜3cmのところまで土を入れ、土面より上の部分をウォータースペースとして確保します。水が土に浸透していくには十数秒かかるため、スペースに水をいっぱい溜めたら浸透するまで別の鉢に水やりをし、戻ってきてまた溜める、を鉢底から流れ出るまで繰り返すと時間を短縮できます。

  • 雪の下は水やり不要

    積雪地方では鉢植えも地植えも雪の下に覆われますが、雪の中は乾燥しないので水やりの必要はありません。

  • 自動散水は設計してから

    広い芝生や複数の花壇に毎日あげるのは手間がかかります。スプリンクラーで自動散水する場合は、散水半径と重なりを考えて何基必要かを先に決めます。スプリンクラー必要数計算機で配置と台数、年間の水道代を計算できます。

水やりはただ水を与える作業ではなく、植物の変化に気付くための時間でもあります。毎日見ていると、新芽が出たこと、葉色が変わったこと、毛虫が付いていること、病気の兆候が出ていることに早く気付けます。害虫や病気は早く見つければ被害を小さく抑えられますが、気付くのが遅れると葉が食べられたり病気が広がったりしてからの対応になります。量と時間の計算は計算機に任せて、見る時間を水やりに使うのが上手な付き合い方です。