剪定と伐採は、どちらも「庭木1本」を扱う工事なのに、料金の決まり方がまったく違います。剪定の金額は木そのものの性質(樹高・樹種・仕立ての程度)で動き、伐採の金額は木の周り(重機が入るか・倒す方向にスペースがあるか・隣家や電線に近いか)で動きます。この違いを知らずに見積書を比べると、高い安いを見誤ります。ここでは、料金を決める要素、見積書の各行が何の対価なのか、そして円/袋・軽トラ1台・円/本と表示がバラバラな処分費を揃えて比べる手順を整理します。
庭木の工事の料金は、次の6つの要素の積み上げで決まります。①樹高(帯が1つ上がると単価がおおむね2倍になる)②本数③樹種と仕立ての程度④現場条件(重機の可否・隣家や電線との距離・傾斜)⑤切り枝や幹の処分費⑥出張費・諸経費と重機費です。このうち①〜③が主役になるのが剪定、④が主役になるのが伐採です。
| 要素 | 剪定でどう効くか | 伐採でどう効くか |
|---|---|---|
| 樹高 | 帯が1つ上がると単価がおおむね2倍になる(低木→中木→高木→大木→特大木) | 同じく帯で倍々に上がり、上の帯ほど重機費と直結する |
| 本数 | 1本あたりの単価×本数。まとめて頼むと出張費が1回分で済む | 同左。ただし1本が重いため、搬出の手間は本数分以上に増える |
| 樹種・仕立て | 最も効く。松は手作業が多く+60%、名木や玉散しを伴う仕立ては+100% | ほぼ効かない。切ってしまえば樹種による手作業の差は出ない |
| 現場条件 | 脚立で足りるかは枝張りの広さ次第。高所作業が要ると上乗せになる | 最も効く。重機が入らない+30%、隣家・塀・電線に近く吊り下げ伐りになる+60%、崖地・傾斜地+80% |
| 処分 | 切り枝の量で決まる。伐採より軽い | 幹を含むため重い。剪定の2倍以上になるのが普通 |
| 出張費・重機費 | 出張費が一式で加算される。金額の下限を設ける業者もある | 出張費に加えて、クレーンや高所作業車が日単位で加算されることがある |
つまり、剪定は「木そのもの」で料金が動き、伐採は「木の周り」で料金が動きます。同じ樹高3〜5mの木でも、剪定は松かどうかで1.6倍変わり、伐採は庭に重機が入るかどうかで1.6倍変わります。見積もりを依頼するとき、剪定なら樹種と仕上がりの希望を正確に伝え、伐採なら倒す方向に何があるかを正確に伝えるのが、金額をブレさせない一番の近道です。
見積書は業者ごとに行の名前が違いますが、中身は次のどれかに分類できます。分類してから比べると、業者間の差が「本体の単価差」なのか「処分費の込み・別建ての差」なのか「諸経費の差」なのかが分かります。
| 見積書の行 | 何の対価か | 確認すること |
|---|---|---|
| 剪定料・伐採料(円/本) | 木を切る・形を整える本体の作業費 | 樹高帯が現地と合っているか。帯が1つ違うと単価が倍になる |
| 〇〇一式 | 範囲や数量を書かずに金額だけをまとめた行 | 何が含まれるかを書面で確認する。一式は中身が分からないまま金額が乗る |
| 処分費・産廃処理費 | 切り枝や幹の搬出と処分 | 本体単価に込みか別建てか。込みなら処分費の行は立たない |
| 出張費・諸経費 | 移動と現場管理 | 近隣の業者や年間管理契約では不要なことがある |
| 設計・現場管理費 | 工事費全体に対して割合で加算される管理費 | 工事費の10%前後が目安。何の管理かを書面で確認する |
| 重機費・高所作業車 | クレーンや高所作業車の賃料 | 半日か1日か。道路占用許可と交通誘導員が込みか別か |
| 伐根・抜根 | 切り株の除去 | 伐採とは別工事。根元の直径で料金が決まる |
| 最低料金 | この金額未満にはならないという下限 | 面積や本数が小さいときは、円/本よりこの行が請求額を決める |
処分費は、業者や資料によって表示単位がバラバラです。「1袋500円」と書くところもあれば、「軽トラック1台3,000〜8,000円」と書くところ、「1本あたり1,500円」と書くところもあります。どれも間違いではありませんが、単位が違う数字を横に並べると、実際には高い見積もりを安いと誤認します。比較するときは、必ず円/本に直してください。
| 表示単位 | 何に課金されるか | 円/本への直し方 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 円/袋(例:1袋500円) | 指定袋に詰めた数 | 1本あたり何袋出るかを掛けて、本数で割る | 中木1本でも45L袋で10袋前後出ることがあり、袋数が伸びると円/本の包括額より高くなる |
| 軽トラ1台(例:3,000〜10,000円) | 車両の稼働 | 何本で1台になるかを業者に聞いてから、本数で割る | 積み方(圧縮するか、そのまま積むか)で1台あたりの本数が大きく変わる |
| 円/本(例:剪定1,500円・伐採3,500円) | 木1本あたりの包括額 | そのまま本数を掛ける | 本体料金に込みの場合と別建ての場合があり、込みなら行が立たない |
重機費は、公開されている金額の幅が一番大きい項目です。1〜2万円程度とする資料もあれば、1日あたり2万円〜5万円以上とする資料もあります。幅が出るのは、①高所作業車とクレーンは別の機械で、クレーンのほうが手配費が高い ②半日か1日か ③道路を占用する現場では許可申請と交通誘導員が別途かかる、の3つが混ざって表示されているためです。見積もりを取るときは「何の機械が」「何日で」「許可と誘導員は込みか」の3点を必ず聞いてください。当サイトではクレーン・高所作業車を1日50,000円として計算に入れています。
重機が要るかどうかの目安は樹高7mです。これを超えると脚立では届かず、上から少しずつ吊り下ろす作業になるため、高所作業車やクレーンの手配が入ります。逆に樹高3m以下で庭に車両が入るなら、重機費は普通かかりません。重機費は1項目で総額が数万円単位で動くため、見積書の総額を比べるときは、まずこの行の有無を揃えてから比較してください。
伐採の見積もりで最も見落とされやすいのが伐根です。伐採は地上部を切る工事、伐根は切り株を抜く工事で、別々に見積もられるのが普通です。切り株を残すと新芽が出てきたり、シロアリやキノコの発生源になったりするため、その後に芝を張る・砂利を敷く・物置を建てる予定があるなら、伐根まで含めて予算を組んでください。伐根の料金は根元の直径で決まり、直径10cm未満と50cm以上では10倍以上違います。
- 樹高は測ってから伝える
目測は実際より低く見積もりがちです。2階の窓やベランダの高さが約3mなので、それを目印にしてください。現地での帯が申告より1つ上がると、追加請求の原因になります。
- 剪定は樹種と仕上がりの希望を伝える
松かどうか、刈り込みで形を作るのか透かして自然な形にするのかで、手作業の量が大きく変わります。仕上がりの希望を写真で用意しておくと、認識違いが減ります。
- 伐採は倒す方向に何があるかを伝える
隣家・塀・電線・駐車している車など、倒す方向にあるものを先に伝えてください。ここが現場条件の割増をほぼ決めます。
- 本数と、まとめて頼む範囲を伝える
剪定と草刈りを同じ日に頼むと、出張費が1回分で済むことがあります。庭全体でいくらかかるかを先に決めておくと、工事のまとめ方が変わります。
- 処分の扱いを先に決める
切り枝を業者に引き取ってもらうか、薪やチップにして自分で使うか、敷地内に置いておくかを決めてから依頼してください。決めていないと処分費の行が業者ごとにバラバラになり、比較できません。
- 1. 処分を自分で引き受ける
薪・チップ・敷き草として自分で使う、あるいは自治体の枝葉回収に出すと、処分費の行がまるごと消えます。剪定で1本1,500円、伐採で1本3,500円が目安なので、本数が多いほど効きます。
- 2. 工事をまとめる
剪定・伐採・草刈りを別々の業者に頼むと、出張費がその都度かかります。同じ日にまとめれば1回分で済みます。
- 3. 繁忙期を外す
春先と秋は庭木の依頼が集中します。冬季は業者の予定に余裕があり、日程を調整してもらえることがあります。
- 4. 単価ではなく総額で比べる
本体単価が安くても、処分費と諸経費を足すと高くなることがあります。必ず円/本に揃えて、総額で並べてください。
このページで挙げた樹高帯の単価・割増率・重機費・伐根の目安は、施工単価データに低め・標準・高めの3通りで一覧しています。処分費の表示単位(円/袋・軽トラ1台)は見積書の書き方の例で、当サイトの単価表は円/本で持っています。実際の金額は、剪定料金計算機と伐採料金計算機で樹高帯と割増を選ぶと3通りで出せます。先に庭の草を片付ける必要がある場合は草刈り料金計算機を使ってください。面積や本数が小さい庭では、円/㎡・円/本で積算した額より業者の最低出動料金が下限になるため、この計算機は下限を反映した金額を出します。計算の考え方と免責事項についてはこのサイトについてをご覧ください。